【日米朝】ブッシュ・小泉と北朝鮮問題の深層 −日経コラム−[04/10]

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1言葉は葉っぱφ ★

ブッシュ・小泉と北朝鮮問題の深層(4/10)
(中略)
ホワイトハウス高官が小泉支持を表明

筆者は同年6月に出張したワシントンでホワイトハウス高官から露骨とも異例とも言える小泉支持を聞か
された。「小泉改革路線をわれわれは全面的に支持する。改革は日本を強くするために実現しなければ
ならない」「外圧はかけないが、小泉改革の抵抗勢力にはわれわれが直接ホワイトハウスまで招いて説
得する」――。

このとき、ホワイトハウスには日本の不良債権問題や北朝鮮問題に関する精緻な報告書が寄せられて
いた。その要点は(1)不良債権問題については日本の裏社会が深く関与しているうえに、一部の政治家、
官僚、企業までが闇勢力に取り込まれている(2)日本の有力政治家の中で資金面を含め北朝鮮との
いかなるつながりもないと断言できるのは小泉純一郎だけだ――。

ブッシュ政権には日本に張り巡らせている情報筋から、在日北朝鮮系業界を資金源とする裏金がどう
やって一部の政治家に流されているかという報告も入っていた。裏金は裏社会出身で口が堅く絶大な
信用のおける第三者の日本人がプロの協力者、つまり運び屋になっている。運び屋は「グルグル預金」
と称して巨額の資金の足取りがつかないようにいくつかの銀行口座を短期間で転々と移す。運び屋は
その現金を必要に応じて政治家に渡す。金正男(北朝鮮の金正日書記の長男)は2001年5月に成田
空港の入国管理局に拘束されたが、それまでは成田空港で正規の入国手続きを経ずに何度も日本に
出入りし、東京都内の高級マンションや赤坂に出没していた。航空会社乗務員専用の出入り口から入
出国していた疑いがあるが、特殊な政治的はからいがなければ不可能だったはずだ。

小泉改革は先の郵貯の改革の残像が強くて、今や不良債権処理問題は過去になった感があるが、バ
ブル崩壊後の「空白の10年」とは、不良債権処理を店晒しにしただけで、小泉内閣が初めて本格的に
着手し、現在の景気回復につながった。一部はハゲタカとも呼ばれる米国系の投資ファンドが活躍する
ことで、米側は小泉改革で実利を稼いだとも言える。

北朝鮮系とのダーティーなつながりの疑惑をもたれていない小泉首相が2002年9月に訪朝し、その
クリーンな手で金正日書記と握手できた背景には当然のようにブッシュ政権からの絶大な信頼があった。
アフガニスタン、イラクの「反テロ戦争」で苦闘しているブッシュ政権にとって、北朝鮮の核疑惑問題に
発する東アジアの不安な情勢の改善は不可欠だったが、小泉首相以外であれば日本の指導者を
そこまで信用しなかっただろう。

小泉首相の「靖国参拝」には中国と韓国が反発し、中国政府はワシントンでのロビイングで米側にも同調
を工作しているが、ブッシュ政権はまともに応じない。2005年11月の日米首脳会談でブッシュ大統領は
日中関係の改善を小泉首相にやんわりと促したが、小泉首相は冒頭で挙げた「日米関係が良ければ問題
ない」と答えた。この小泉発言は思いつきではないどころか、政権発足以来の米側から小泉内閣に寄せら
れる信頼の積み重ねから生まれた。
(後略)
ソース:日経新聞  NET EYE プロの視点 イラク戦争後の世界を読む 田村秀男 編集委員
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/tamura/20060409n1949000_09.html