http://www.msnbc.msn.com/id/12015267/site/newsweek/ Europe Needs Its Own Koizumi
Timing is critical. Japan first pushed financial reform, which forced labor reform. In Europe, labor reform came first, inciting mass protest.
By Angel Ubide Newsweek International
ニューズウイーク:ヨーロッパは小泉首相を必要とする By Angel Ubide
タイミングはクリティカルだ、日本は金融改革を進め、労働市場改革を行なった
ヨーロッパでは労働市場改革でもたついて、大衆抗議運動が起こっている
僅か数年前にはヨーロッパの首脳は経済の先行きに根拠のない自信を示し、日本は道に迷って
いるかのようだった。今や日本の経済回復はモメンタムをつけ、3%を超える成長を予想する向
きさえある。それは2006年のアメリカやヨーロッパを越える成長だ。ヨーロッパは日本から何が
学べるのだろうか? 答えは、多数の事がら、である。
最初のレッスンはタイミングが全てだということだ。日本は政治的に庇護されていた銀行を最初
に改革し不良債権を処理した。独立し、活気を得た金融セクターは企業の改革を促し、労働市場
の改革が進んだ。それは日本の終身雇用の約束を終わらせるものである。しかし日本では大規模
な大衆の抗議運動は起こらなかった。なぜならば、まさに起こりつつある経済回復が日本を復興
させ、改革を(大衆に)評価させたためである。
ヨーロッパでは指導者が労働市場改革や社会福祉・社会保障改革から手をつけたので経済成長に
良い兆候が見えず、街路には大衆の抗議行動があふれた。彼らは失業と福祉切捨てに抗議してい
るのだ。
第二のレッスン。問題は政治(改革)なのだ(これが解らないなら)お馬鹿さんというべきだ。
小泉首相は与党の自由民主党を、保守的な、地方の個別利益集団の派閥連合から改革志向の近代
的な政党に変身させた。ヨーロッパでは政治的なトラップに囚われていて強力な個別利益団体が
非効率なシステムを死守している。農民は大型補助金に、老いた労働者は潤沢な年金にこだわっ
ている。
日本の経済回復は小泉首相の改革によっている。彼は企業と政府の支援する銀行とのつながりを
断ち切ったのだが、このおかげで(政治的庇護を失った)企業は改革するか倒産するかを迫られ
た。その結果、数千のゾンビ企業は破産した。過剰な生産能力が整理された。そして広範な経済
回復が現れた。雇用が回復し賃金が上昇している。1990年代以来の労働者の収入増大が見られる。
労働市場の改善が企業収益を向上させ、企業利潤は歴史的な高さにある。株式市場は2003年の底
値から倍以上に回復し大都市での土地価格が上昇し始めた。消費者物価指数が上昇の気配を見せ
デフレの終焉を示している。
小泉首相は2005年の選挙でこの改革に止めをさすべく、郵政改革実現を公約にして大勝利を収め
た。それは世界最大の銀行である郵貯(3兆ドルの資産を持つ)を民営化するというものである。
この小泉首相の選挙の勝利は経済改革は大衆の支持を取り付けることができることを示す。ヨー
ロッパでは政治家が改革について語りすぎていて結果を出すことができていない。いわば改革の
インフレ現象がある。それは改革という概念の価値を下げるものである。日本では改革は良きも
のとみなされ、ヨーロッパでは悪しき烙印を押されている。