「PRIDE武士道−其の拾−」(4月2日、東京・有明コロシアム)に出場するGRABAKAの
郷野聡寛と三崎和雄が23日、それぞれ公開練習を行った。
昨年9月、ウェルター級GPでダン・ヘンダーソンに敗れて以来の試合となる郷野は、
田代勝久トレーナーを相手に4ラウンドのミット打ちを披露。田代トレーナーが「6」、「9」、
「キャッチ」と号令をかけると素早く反応し、指示に応じたコンパクトな連打を叩き込んでいく。
田代トレーナーが容赦ない速度で繰り出すパンチにもヘッドスリップで対応。
「今度の相手よりオレの方がパンチ速いでしょ」と田代トレーナーがおどけると、
「3倍速いですよ」と郷野も応じて笑顔を返す。明るい表情に調子のよさがにじみ出ている。
練習の後半では、田代トレーナーが手のひら大の小さなミットに交換。
薄いオープンフィンガーグローブを想定したより実戦的な練習となったが、
郷野は髪の毛が擦れるぐらいでギリギリに見切り、まさしく“間一髪”で飛びかうパンチをかわしていく。
明言はなかったが、この動きこそ、昨年その存在が予告された高等ディフェンス
「キューティクル・ダック」であったのかもしれない。
・新カウンターパンチを用意
「俺、パンチねぇからな……」とうそぶいた郷野だが、“ドロンパ”、“プレーリードッグ”という
新たなカウンターパンチを用意。
詳細は明らかにされなかったが、ドロンパは「ドンピシャで決まればかなりダメージを与えられる」、
プレーリードッグは「顔を打つやつと、ボディを打つやつと2つある」と語り、試合での爆発に期待を抱かせた。
また、野球好きで知られる郷野はWBCでの王JAPANの快進撃に感銘を受け、
“スモールベースボール”にならった“スモールファイティング”を提唱。
「俺は1発で倒せるようなパンチとか強烈な関節技とかはないけど、ディフェンスやフェイントとか、
磨いてきた技術全てを駆使して勝利を掴む」とこの理念を説明し、パワー・体力面で勝る相手に対抗する構えだ。
「ディフェンス重視とか言ってたけど9月もビッグヒットをもらってしばらく休む羽目になって、
まだまだ偉そうなこと言えるレベルじゃないのを痛感したし、そう考えると持ってる全てを駆使して
少しでも相手より上回る、その考え方を“スモールベースボール”っていう言葉からヒントを得て
“スモールファイティング”で行こうかなってなりました」(郷野)
・イチロー発言に引っ掛けて……
飄々(ひょうひょう)とした語り口の郷野だが、敗戦から己の課題を学び取り、
総力戦で新たな戦いに臨もうとする真摯な姿勢がうかがえた。
くしくも今回の対戦相手はWBCで日本を苦しめた韓国のファイター、キム・デウォン。
かつて、チームメイトの山宮恵一郎を下した(05年9月のDEEP、判定勝ち)相手でもあり、
郷野にとってはリベンジマッチともなる。
「燃えますね」と言いながら、「韓国選手は初めてなんで、(WBCでの日本のように)順番で言うと
先に負けちゃうのかな」と冗談で笑わせたが、「1発目で6−0が来るように完封したい」と意気込みを語った。
山宮からは「力がすごい強い。表情が変わらないからどれくらい消耗してるか分からなくてやりづらい」
とアドバイスを受けたというが、郷野は
「完封して心を折りたい。嫌がる素振りを見せるぐらいまで追い込みたい」と力強くコメント。さらにイチロー発言にひっかけて
「俺が30年できないから無理だけど、むこう3ヵ月は郷野とやりたくないと言われるくらい……」
と最後まで“絶口調”で会見を締めくくった。
郷野の指導にあたった田代トレーナーは“ドロンパ”と“プレーリードッグ”を「あれは試合に使えるか分からない」、
「僕はいろんな選手に言うけどあまり決まったことはない」と明かし、報道陣を不安と笑いに巻き込んだ。
しかし、「今回は調子いい」と仕上がりに太鼓判を押すだけに、キムのパワーをはねのけ、
郷野がテクニックの妙を発揮してくれそうだ。
(以下略)
スポーツナビ
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/column/200603/at00008491.html