「媚中派」主張の虚構打破 緯度経度~ワシントン・古森義久
日中関係の今の摩擦や米国の態度について、中国側の文句だけをもっ
ぱら尊重する朝日新聞のような日本側の媚中・親中派の主張は次のよう
になる。
「日中関係は小泉純一郎首相が靖国神社を参拝するために悪化している。
だから参拝をやめると言明すれば、日中関係は改善される。米国でもブッ
シュ政権の内外で靖国や歴史認識で日本側の態度への批判が広まって
きた」
ところがワシントンでこのほど開かれた日中関係に関する討論会では、
中国、日本、米国の三国代表いずれもがそんな構図を完全否定するような
言明をしたのだった。媚中派の主張の虚構はわかっていたとはいえ、各国
の当事者たちからそれを改めて打破する議論を直接に聞くのは新鮮な
体験だった。
ワシントンの大手シンクタンクの「AEI」が二月十三日に開催した「中日関
係の将来」と題するセミナーだった。
まず中国政府系機関の中国現代国際関係研究院日本研究所長、楊伯
江氏がいまの日中関係の緊迫の原因は靖国ではなく、両国間の「戦略的
な衝突」だと述べるのである。
「私は小泉首相の靖国参拝に反対ではあるが、日中関係全体では靖国
はあまり重要性を感じておらず、歴史問題にもそれほど関心を覚えない。
靖国は日中両国の対決の反映あるいは象徴なのだ。両国間の緊迫はあく
まで戦略的な衝突という深い背景からみなければならない。中国のGDP
(国内総生産)の拡大が明示する日中間のパワーのバランスのシフトも
緊迫の原因だ。米国の対日政策も同様に原因だろう」
楊氏はさらに日本が世界第二の経済パワーを政治化しようとしているこ
とや、中国の台頭が明治時代以来、日本にとって初めて優位に立たれる
形で進んできたことも、最近の日中関係悪化の原因だと付け加えた。
ブッシュ政権一期目の国防総省と国務省の両方で中国担当の次官補
代理を務めたランディー・シュライバー氏も、中国の台頭、日本の「普通の
国」としての復活、日米同盟の強化、中国軍の増強と近代化などを日中摩
擦の原因としてあげた。
ソース:産経新聞(東京版)2月18日14版7面(国際面)
※Web上では見れないため、記者が確認してテキスト化しました。
>>2-5あたりに続く