二〇〇〇年十二月に破たんした民族系金融機関、朝銀近畿信用組合(神戸市)の兵庫県内分の受け皿となった
兵庫ひまわり信用組合(同)。開業三年半を迎え、地域に根差した金融機関として着実に基盤を固めている。
すでに黒字化にこぎつけ配当も実施。基盤の神戸・長田地区はケミカルシューズ業界をはじめ震災のつめ跡が残るが、
「経済と金融の一体再生」を合言葉に存在感を高めている。(加藤正文)
仕事始めの四日。長田区の本店で田井一好理事長はゲキを飛ばした。「開業四年目の今年は、永続的に
発展するための重要な転機となる」開業は〇二年八月。初年度は不良債権処理で引当金を積んだ結果、
最終赤字となったが、〇四年三月期に黒字化を果たした。本業のもうけを示す業務純益は二億百万円となり、
純利益は二億七千万円を確保。出資金に対する配当も始めた。翌〇五年三月期は業務純益が一億八千六百万円、
純利益は一億七千五百万円となった。
同信組は来年春までを「第二創業期」と位置づけている。「ようやくここまで来られた。ひまわりは、私たち同胞の
精神的なよりどころ」。ケミカルシューズ業を営む三浦化学工業所の三浦泰一代表はこう話す。
在日韓国・朝鮮人の零細業者が多い長田で、旧朝銀の存在は大きかった。経済の“毛細血管”としてお金を地域で
循環。担保にとらわれず「経営者のやる気や能力を評価した」(地元企業)といい、他の金融機関が追随する例も
少なくなかった。破たん後、地元の経営者らが出資して再出発。いまや組合員数は五千三百を超え、開業時の二倍に。
自己資本比率も9%台にまで上がっている。
とはいえ震災の後遺症は今も残る。ケミカルの企業数は震災前の六割。生産額も大きく落ち込み、
一時持ち直したものの減少傾向は続いている。
同信組は健全運営と地域の再生を両立させるため、融資先の経営を立て直し債務者区分を引き上げる
「ランクアップ」に尽力。一方で、返済が滞ったままの融資先を選別する不良債権処理も進めた。
その結果、「前向きに頑張っている」(神戸財務事務所)との評価を得るまでになった。
顧客の利便性を高めようと、本年中には阪神北部で新支店開設も計画している。
■目指すはキラリと光る金融機関
開業から三年半。兵庫ひまわり信用組合の田井一好理事長に、今後の展望などを聞いた。
―立ち上げにあたって心がけたのは?
「社会的責任と公共的使命を自覚して、どんどん前に出よう、声を出そうと職員に呼びかけ、
何よりチームワークを重視した。組合員は開業時の二倍に増え、地域のみなさんに支えていただいていることを
実感している。『ひまわり』の名が認知されたのではないかと自負している」
―震災からまもなく十一年。地域の状況は?
「ケミカルシューズ業者などで淘汰(とうた)の勢いが加速した。長田区でも、人口がまだ震災前の水準に戻っていない。
中小零細の事業者のみなさんは大切な取引先。地域の活性化なくして、金融機関の再生もない。
地域に最も近い金融機関として積極的に攻めていく」
―目標は
「来年三月末までを『第二創業期』とし、預金量六百億円、融資量四百二十億円を目標としているが、
達成に向けて頑張りたい。目指すのは小さくともキラリと光る金融機関。地域密着型金融機関として日本人にも広く
門戸を開いていく。何より、信頼され、勝ち残れる存在でありたい」
ソース 神戸新聞
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/kz/00046644kz200602111000.shtml