【国内】「パッチギ!」で映画大賞作品賞の井筒監督「朝鮮半島で撮影しようか」【12/29】
今週の東スポ
いやはや、元日から恐ろしく悲しいだけの映画を覗き見てしまった。
東京や大阪で見るのが恥ずかしかったので、郷里の奈良に戻った折に、
斑鳩の里にできた聖徳太子もビックリのシネコンに、
毛糸帽を目深にかぶってこっそりと行った。
「男たちの大和」という戦艦大和の玉砕話。あまり見つかりたくなかった。
300席ぐらいのスクリーンに、100人足らずが座っていた。
ジイさんかおっさんだけかと思ってたら、以外に若い客も多かった。
だからまあ、チェック入れときたかったわけだ。
で、戦争当時に世界一クソデッカい戦艦だったはずの、
その原寸大の甲板のセットがいきなりスクリーンに現れたが、
これが何ともセコくて、遊覧船並みにしか見えず。スケール感なし。
映し方も悪いのか、軍艦マニアではないが興ざめだった。
しかも3000人の将兵がのりこんでいるというのに、
30人ぐらいでしかアメリカの戦闘機と戦っていないように映っていて、ショボかった。(続く)
(続き)
アメリカ軍機もたったの何機かがピントのボヤけたCG画像で襲い掛かって来たが、
パイロットなど一人も映らなかった。どこの誰と戦っていたのかな・・・。
戦争モノって、戦闘機がバリバリバリっとかましてくると、
艦上にドカドカドカっと掃射サク裂が凄まじく走るのが普通だが、それがない。
大和側の対空機関砲がどの敵機にどう反撃していたのか判然としないまま、
ただ砲手らが叫びまくって死んでいた。
艦上の3000人がどんなふうにあちこちで狂乱して死闘するのか、
どうやって船もろとも破滅していくのかサッパリ分からない。
そして知らぬ間に大和が横転しかけているのにはあぜんとさせられた。
世界一の戦艦が討ち死にしていくのだから、もっと丁寧に何万発と応戦し、
しっかりと何十発何百発の魚雷や爆弾で殲滅させられていく様が数秒ごとにあるのかと思ったが、
大間違い。
あっけなかった。一発だけ魚雷攻撃をかわすカットがあっただけで、
あとはその30人だか40人が機銃掃射に、
あれーなんじゃらほいと乱射されて終わり。あっという間に沈んだのだった。
そんなに弱くもろい戦艦だったのか。
事実としたらブザマ過ぎたが、それでも何十分かは悪戦苦闘していたハズだ。(続く)
658 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2006/01/13(金) 23:23:54 ID:O0X0tKpZ
ラストで老体の仲代達矢が、家族も誰一人も守れなかったとナレーションで語ると、
当たり前のように原爆の実写フィルムが差し挟まれて、映画は終わっていた。
タイタニックでは、誰がどこでおぼれてどう死ぬかキチンと描かれたものだが。
誰と誰がどう命じたから3000人がなぜどう戦死したのかにも、この映画は全く頓着していない。
「貴方ともう一度会えたらずっとそばにいてあげたい」(?)とかなんとか。
長渕某の陰鬱な歌がエンドロールで陳腐に流れてきたので、
お先真っ暗、通路も真っ暗だったが、真っ先に席を立って逃げた。
実家に戻ると、甥っ子が矢沢永吉のライブDVDを見せてくれた。真夜中から2時間眺めた。
思いもしなかったが、永チャンが戦艦大和の憂鬱をぶっ飛ばしてくれた。
永チャンはインタビューで主張していた。
オレの職業って歌手だ、声出して汗かいてロックンロールでマイク蹴って、
娘を大学に行かせて・・・ヤザワッて職業は歌手なんだって、
そうずっと前からオレは言ってきたのよ、
誰のために生きるか走るのかオレがヤザワという人間を自分でプロデュースしてきたんだ、と。
永チャンはやっぱりカッコいい。ヤザワはカッコよく生きろと叫ぶ。
久しぶりにヤザワの歌う声にシミジミとし、絶望的なパニック映画を一蹴してくれ、
ホッコリさせられた正月になった。
今年も、戦争か平和か、好戦か反戦、世界の映画のテーマもさらに色濃く真っ二つに分かれることになるだろう。(終)