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筆返しφ ★:
【旬を読む X氏の一冊】作家・関川夏央 『柳生薔薇剣』荒山徹著
鎌倉・東慶寺は、駆込寺・縁切寺である。十三世紀以来女性のアジール(避難所)として
知られたその寺に駆けこんだ中年女性がいた。寛永元年(一六二四)暮れのことだ。
女性は、肥後隈本五十四万石加藤忠広家臣の妻、うねである。元の名を成恩愛(ソンウネ)、
文禄の役の際、朝鮮から撤兵する日本軍に従って渡日した。以来三十一年、夫と和し、
三人の男の子を育て上げた。しかし彼らはみな彼女を鎌倉に送り、東慶寺の門をくぐらせる
ために命を捨てた。凶刃をふるったのは加藤家の追手だった。
おりしも朝鮮国使が訪日、その目的は文禄・慶長の役で日本軍が連れ去った朝鮮人の
「刷還(さつかん)」であった。前二回の使節も同目的、幕府は全面協力を約したが、
帰国者の数はなぜか少なかった。
「俘囚(ふしゅう)」が暮らす九州の諸大名が邪魔をしたわけではない。
彼ら自身が帰国を望まなかったからである。
幕府の咎(とが)めを恐れた加藤家は、朝鮮使の要望に見苦しいまでに添って、
いやがる元朝鮮人を狩り立てた。しかしうねは拒絶、血の犠牲を払って東慶寺に入ったのである。
この女性を、幕府の意を受けた伊賀者と武士たちがさらおうとする。使節に随行した
通訳の口を吸って日本語を話す舌を借りる、そんな恐るべき朝鮮妖術師も凶徒のうちにあった。
尼寺を守るのは石舟斎の孫で十兵衛の姉、柳生矩香(のりか)だ。題名中の「薔薇(そうび)剣」は、
中国渡りの白薔薇(ばら)の花を連想させる矩香の高貴な美貌(びぼう)と、鋭い刺(とげ)を思わせる
剣の天才ぶりに由来する。
司馬遼太郎は、同時期に渡日した陶芸の一族沈寿官(ちんじゅかん)を主人公に
『故郷忘じがたく候』を書いた。
一方、朝鮮史を学んだ荒山徹は、当時「極端な身分差別制度を国是」とした李朝圧政下の庶民は、
むしろ「諸手(もろて)をあげて日本軍を歓迎した」という。
うねの名は北朝鮮に拉致された日本人女性「李恩恵(リウネ)」を連想させる。しかし彼女の思いは
李恩恵とは正反対、他の渡日朝鮮人たちと同じく、むしろ『故郷忘じたく候』であり、実際荒山徹は
同名の作品を書いてもいる。
ファンタジックかつ雄渾(ゆうこん)な時代小説で読者の想像力を刺激しつづける荒山徹は、
その才能という利剣で、戦後の日韓両国がからめとられた通俗な歴史観を一閃、断とうと試みた。
時代小説の可能性をしめす、柄の大きな作品である。
◇
せきかわ・なつお 昭和二十四年生まれ。平成十二年、司馬遼太郎賞。『海峡を越えたホームラン』他。
http://www.sankei.co.jp/news/051030/boo009.htm
2ダ
3 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 11:31:57 ID:e3JtWd4i
2行くらいにまとめてくれ
(^^)
>>3 ちょーせんからつれてこられた人がかえりたくない
とか言ってておも白いお。
せきかわ なつお
世界情勢
東アジアnews+
板違いじゃないの?
7 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 11:48:00 ID:mByLOHYi
また莫枕夢か!
8 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 12:03:47 ID:QJ+YsXtA
薔薇族
9 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 12:08:23 ID:6sWQ6Xet
矩香たん、ハアハア
どれほど客観的学問だと自任していても受け入れがたい。
荒山徹先生の、伝奇シリーズはいいね。
東亜+住人の君にもお勧めだよ
12 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 12:16:21 ID:WLhfVxxl
13 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 12:26:56 ID:ARY6dNfO
以下「薔薇族」禁止
15 :
:2005/10/31(月) 13:17:20 ID:q8S24OuE
薔薇の花嫁かと思った。
16 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 13:19:17 ID:UyUmmhd/
朝鮮を絡めた時代劇書いてる人だよね。
他にこういうの書く人いないんで、斬新でちょっと面白い。
中国を絡めたのに比べるとどうしてもしょぼいけど。
17 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 13:20:22 ID:TXU5Av2r
アッー!
18 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 13:21:20 ID:VfVm7jCV
ウホッ、いい小説
柳生薔薇剣 真紅のステッキ技にちょうどいいな
>『故郷忘じたく候』
これの朝鮮人陶工集団も撤退戦でいそがしく、ほっぽていたら、後から憑いてきたと書いてあったような…
21 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 13:28:32 ID:2+MNs1bO
高麗秘帖は面白かった。かなり李舜臣マンセーな話だったが、その随臣たちが実に
デフォルトな朝鮮両班で、実に自信満々に倭人どもを見下しながら、加藤清正配下
の忍者軍団には手も足も出ずサクサクと斬られていく。けっこう気持ちいい話です。
『故郷忘じたく候』
在日に聞かせてやりたいぜ。
23 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 13:35:08 ID:ztzgk8lG
司馬遼太郎ってサヨクだね。
24 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 13:35:50 ID:s0r/pPOQ
>>21 俺は「魔風海峡」が面白かった。
朝鮮方とはいえ、故国独立を目指し王族でありながら戦いの場に臨む臨海君かっけー。
どう考えても真田幸村と十勇士さしおいて主人公している。
その他の朝鮮王族たちはおなじく両班特権意識に漬かった豚だらけだけど。
25 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 13:45:27 ID:dhUy8N0m
昔ゲーセンにあった脱衣麻雀に柳生十兵衛みたいなのが出てきてな
負けると褌をしめた尻をこっちに向けてお仕置きをねだる奴
嫌なものを思い出しちまったorz
山田風太郎のパクリ
27 :
<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん:2005/10/31(月) 14:28:30 ID:2+MNs1bO
まあ、キーワード「柳生」「鎌倉東慶寺」「加藤家」と3つ並べれば、普通は
「柳生忍法帖」だわな。
でも、この作者の場合どっちかと言えばリスペクトとか「衣鉢を継ぐ」という言葉
で評価されてもいいんじゃないかな。「魔風海峡」に出てきた朝鮮忍者の忍法は
従来のものから言えばかなりオリジナルだったし(海外ファンタジイの召還魔法に近い)。
まあ、一言言わせて貰えば、「鼻丸萌え」ってこと。
加藤は加藤でも清正の方だな
今、ヤンマガでやってる柳生物の原作ってこれか?
山田風太郎の小説家と思ったよ