「工商銀に40億ドル出資、GSなど外資3社」
投資銀行世界大手、米ゴールドマン・サックス(GS)など外資系3社は、中国最大の国有
商業銀行、中国工商銀行に対し戦略的出資を行うことで基本合意に達した。出資規模は
35億〜40億米ドル(約3,800億〜4,400億円)。3社で工商銀株10%を持ち合い、同行の
海外上場に向け、戦略的パートナー関係を構築する。中国建設銀行、中国銀行に続き
大手行が海外のユニバーサル・バンクと手を結んだことで、2006年末の銀行業の市場
開放を視野に、外資系による対中投資は一層加速しそうな情勢となっている。
GSのほか、損害保険世界最大手の独アリアンツ、クレジットカード世界大手、アメリカン・
エキスプレス(アメックス)が出資する。預金残高が5兆元を超える中国最大のスケール
メリットに加え、支店数でも最多の2万8,000カ所とリテールに強みのある同行へ出資することで、
本業の保険やカード業務といった個人向け市場の開拓が可能との狙いもあるようだ。
■過去最大の規模に
中国紙「21世紀経済報道」によると、3社の出資額はGSが最も高く約20億米ドル、アリアンツも
10億ドル以上、アメリカン・エキスプレスは2億〜3億米ドル前後。10月中にも工商銀本体の
株式会社制移行に合わせ、出資の受け入れを進める模様だ。実現すれば英ロイヤル・バンク・
オブ・スコットランド(RBS)などのグループが中国銀行との間で合意した出資額31億
米ドルを抜き、単体の出資としては外資系による中国本土行に対する最大規模の出資と
なりそうだ。
出資が実現すれば、GSは国際競争力の強化やコーポレートガバナンス(企業統治)能力
向上に向けたノウハウを提供する見返りとして、工商銀上場の際には、GSが主幹事会社を
務める公算が高いという。
工商銀の上場規模は、先行する中国建設銀行が調達を見込む50億米ドル(約5,500億円)
を上回る60億米ドル(約6,600億円)に上るとみられている。GSが主幹事となれば上場
手数料だけで出資額のうち9,000万〜1億8,000万米ドルが回収できる計算だ。
■世界大手も07年にらみ
外資系による中国各行へのアプローチが加速している背景にあるのが、中国の世界貿易機関
(WTO)加盟時に定められた06年末までの銀行業の市場開放だ。既に開放された国内企業向け
業務に加え、個人向け業務も可能になるほか、業務を行う地域制限も撤廃される。中国国内では
規制のため業務歴が浅い外銀にとって、既にネットワークを構築した国内行とのパートナー関係を
テコに、リテールなどの開拓を進められるメリットがあるわけだ。
大手外資としては、英HSBCホールディングスが中国商業銀5位で香港上場の交通銀行に
既に20%出資。また相手としても全国規模の大手行だけでなく、購買力の高い沿海部の
地方銀行とユニバーサル・バンクが提携する動きも出始めており、07年に向けた外資の
中国金融界への出資や提携が今後、加速することは間違いなさそうだ。
引用元:Yahoo!ニュース−NNA (9月7日10時24分)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050907-00000019-nna-int