日立製作所など電機大手は、中国の富裕層をターゲットに薄型テレビで攻勢をかける。
中国国営放送局が今月からハイビジョンチャンネルの放送を開始したのに加えて、
二〇〇八年の北京五輪を控え高画質テレビの需要が一気に拡大するとみているためで、
各社とも現地での増産対応を急ぎ始めた。
日立は今月中に、現地のテレビ生産子会社、日立福建数字媒体(福州市)でハイビジョンプラズマテレビの生産体制を強化する。
現在は日本で行っているプラズマパネルに駆動回路を取り付ける後工程を中国に移管し、
最終製品の生産台数を現行の十倍、月産一万台に増やす。
薄型テレビの一種で中国で需要が大きいリアプロジェクション(背面投射型)テレビも現在の月産一万台を
〇六年には一・五倍の一万五千台に増産する。販売網も年内に、現在の十八支店から二十一支店に広げる。
中国のプラズマ市場で首位の松下電器産業も、
〇一年一月に設立した上海工場「パナソニック プラズマディスプレー(上海)」の生産能力を増強している。
ハイビジョン対応機種を中心に、現行シェアの20%弱を早期に30%に引き上げる計画だ。
液晶テレビ世界最大手のシャープはハイビジョン対応の四十五型大画面液晶テレビを中国市場に本格投入したほか、
江蘇省のテレビ組立工場「南京夏普電子」の増強に乗り出している。
中国では、国営テレビ局の中国中央電視台(CCTV)が今月一日から
ハイビジョン映像の映画やドラマを専門に放映するチャンネルをスタートし、ハイビジョン時代が幕を開けた。
〇八年の北京五輪をはさんで一五年までには、地上波テレビの段階的なデジタル化が計画されており、
膨大な薄型テレビへの買い替え需要が期待されている。
日本の電機大手は、競争激化する国内薄型テレビ市場で大幅な価格下落に見舞われている。
急成長する中国市場では、世界をリードする高精細画質技術を武器に、富裕層向けの高級品需要を掘り起こし、
薄型テレビ事業での収益てこ入れを狙う。
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