【6か国協議】27日から北京で…政府見通し[07/12]

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140<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´  )さん
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The Impact of China's Economic Growth on North and Southeast Asia
By Dan Blumenthal Posted: Friday, July 22, 2005
TESTIMONY U.S.-China Economic and Security Review Commission (Washington)
Publication Date: July 22, 2005

AEI:議会証言:アメリカと中国の経済関係と安全保障に関する見解  (7月22日)
By ダン・ブルーメンソール

議会の委員会で、中国の経済成長のインパクトについて、東アジアや東南アジアへの安全保障
への影響について述べる機会を与えられたことを光栄に存じます。

私はここで、中国のアジア地域に与える影響、台湾問題、中国の軍備拡大の影響、そのほかに
ついて、お話致したい。

・中核的な質問は中国のグランド・ストラテジー(大戦略)が何かという事だと思います。そ
 れは資源を獲得して国威発揚を活発にするといったものです。

・そして、この国威発揚というのはアジアにおける覇権国になるということです。

・中国は発展途上国から覇権国になるに当たり、過去の発展途上国の問題を研究しています。

・そして、中国の取っている戦略というのは、三つの要素から構成されています。

・第一:いわゆる「総合的な国力」の増進。

・第二:地域の諸国に対して中国は歴史修正主義でも好戦的でもないと保証すること。

・第三:アジアの覇権国になるためには、卓越した大国であるアメリカをアジアから排除する
 必要があり、望むらくは平和裏にそれを行いたい。

中国がアジアで展開していることの多くは、この三原則に照らしてみれば明確なのです。
141<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´  )さん:2005/07/23(土) 05:55:52 ID:Z6ZQGjIT
<総合的な国力の増進>

・まずは経済的な国力をつけることが最初で、ついでそれにより軍事力を増強し、経済力を背景
 にして政治力をつける、というものです。そして、

・中国の戦略の中では「平和裏の祖国統一」というのが含まれなくてはならないわけで、その理
 由は歴史的な中華帝国が失った祖国の地を回復することが偉大な中国の証明であるためです。

・台湾問題が、このために最高優先順位になるわけで、偉大な覇権国は台湾の祖国復帰無しには
 実現できない、という理屈になるわけです。

・このために中国の軍事力は台湾の回復を目的に増強されています。さらに中国は台湾との経済
 的提携を深めていますが、それは台湾国民を「母なる大陸」に向かわせるという願いが込めら
 れているからです。

・この中国の総合的国力の増進のためには、少なくとも今、短期的にはアメリカやそのほかの輸
 出市場である国との経済的関係を保つことが必要事項です。

・総合的国力増強のための経済発展という動機が、中国の盛んに行っている東南アジアとのエン
 ゲージメントを説明します。ASEANやそのほかの国とのFTAのために2003年のアジア諸国からの
 輸入は31%増加、総額が$495Bになっています。

・全体としてみればアジア諸国は中国とのエンゲージメントによって、一部の不利益はあるもの
 の総体として利益を受けています。

アジア諸国は自然資源などの安定した買い手としての中国のおかげで対中貿易の黒字を計上して
います。しかし、中にはエンゲージメントで不利益の起こるセクターがあるわけで、農業分野は
その一例です。例えばタイは中国との野菜や果実の協定の締結後、大蒜はいままでタイ産のもの
が$1.35だったものが15セントになるという事が起こっています。
142<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´  )さん:2005/07/23(土) 05:56:32 ID:Z6ZQGjIT
アジア諸国とのエンゲージメンとは経済成長が大きな動機なのですが、それ以外に抑えておくべ
きことは:

・中国にとってアジア諸国とのエンゲージメントは経済関係に留まらず戦略的な関係であり、政
 治的な影響力の関係でもあります。

・台湾を例に取れば、台湾の全輸出の24.5%が中国大陸向けであり数十万人の台湾人ビジネスマン
 が中国に滞在しています。これらの人は台湾の大統領選挙でより親中国の候補に投票するよう
 奨励されてもいるわけです。

これはNDUの Phil Saundersが指摘していることですが、実際に2004年の台湾大統領選挙では中
国は台湾人ビジネスマンに親中国派(青陣営)に投票するように薦めたわけです。そういうわけ
で、アジア諸国は中国の圧力を感じることになります。

・端的な例はオーストラリアと中国の関係で、両国の貿易は過去10年で四倍増にもなったのです
 が、中国はオーストラリア政府に圧力をかけてアメリカとの同盟関係を変化させようとしてい
 ます。

今年の3月、中国外交部の北アメリカ・太平洋局長、He Yafeiはオーストラリアに対してANZUS
協定を見直し、その中から台湾を除外するようにと要求しました。

日本について言えば、日中関係は悪化していて、日本は中国の競争者なのですが、それでも何
時か、日本のアメリカとの関係を見直させて、中国側につけるために日本との経済関係を強化
しているわけです。日本の場合、例えば自動車とか、特定の産業に焦点を当てていることがあ
げられます。

・つまり中国は、戦略的に重要と定めた国との関係を強化していて、例えばエネルギー安全保
 障のためにビルマ、カンボジア、タイとの関係を強化し、そのシーラインの確保を狙ってい
 ます。

・中国は中東からの石油輸入についてアメリカ艦隊がシーレーンの安全を保証してくれるとは
 信用していないので、その脆弱性を改善しなくてはならないと思っています。

・ビルマは海上輸送に変わる陸路でのエネルギー輸送の可能性を与えます。これはマラッカ海
 峡を回避できるメリットがあるとして、そのために中国から$1.6Bの軍事支援と$200Mの経済
 支援を得ています。

カンボジアも同じような重要性を与えられていて、中国はカンボジアの債務を帳消しにして軍
事支援を与えています。カンボジアの場合はメコン川経由した石油輸送がその狙いで、すでに
タイからの石油輸出にはその経路が使われています。タイも、中国のこのエネルギー輸送戦略
の上で重要視されていて、アンデマン海からタイ南部海岸へむすぶというもので、アメリカの
海軍の支配する海域でのタンカー輸送を回避することが出来る,というわけです。
143<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´  )さん:2005/07/23(土) 05:57:03 ID:Z6ZQGjIT
<アジア地域での存在の強化>

ジョージ・ワシントン大学のDavid Shambaughは、中国がアジア地域のマルチラテラリズムを強
調するようになっていることについて書いています。中国はASEANに深く関与し、ASEAN+3や
ARF、SCOといった地域機構にコミットしていて、その中で特にアメリカを排除することに熱心
なのです。

中国の高官が書いている文書に拠れば、ASEAN+3とSCOを二つのフォーカルポイントにして地域
協力関係を地域の特異性・多様性(diversity)にと方向付ける、という考え方が有ります。
つまり

・中国は東アジアのFTAや東アジアコミニティ(EAC)を、経済目的だけではなく政治的に、また
 安全保障のメカニズムとして後押しする

・中国の軍事力強化は不透明なところが多いものの最新の国防省報告では$90Bを使うという世界
 第三位の規模です。その一方でアジア地域では平和的手法を強調してきているわけで、それを
 解釈すれば、軍事力は台湾の祖国復帰のためのものという事になります。

ASEANやEACへの盛んな活動に加えて、中国はオーストラリア、タイ。モンゴルなどとの安全保対
話を行い、軍部対軍部の付き合いを深めています。さらにカンボジア、フィリピンなどに軍備を
売り、ARFにもエネルギーを投下しています。

・私(ダン・ブルーメンソール)の個人的な考えでは、中国は今のところ軍事力を行使するハード
 パワーではなく、今しばらく国力の充実を謀るのだろうと思います。

<徐々にアメリカをアジアから追い出す>

単純に言って、中国が成功裏に国力を増大させ、アジア地域の存在として強大になれば、中国は
アメリカと正面から衝突する必要は無く、アジア諸国を同盟関係の中に取り込むことが出来れば
良いともいえます。

・しかし、上の戦略が上手く行くためには中国はアジア諸国のアメリカとの同盟関係を止めさせる
 必要があります。

・そのためには中国の軍事力増強が特別の意味を持つことになります

・最近の国防省の報告書が述べているように、中国の増強している長距離ミサイル、巡航ミサイル
 艦船や潜水艦の増強などは機動性が有り、台湾海峡以外にも展開が可能なものです。

何十年にも渡って、アジアの安全保障の基礎はアメリカの、日本、オーストラリア、台湾、韓国、
フィリピン、タイなどとの安全保障条約(防衛のコミットメント)に有りました。

・中国の長距離ミサイル、潜水艦、第四世代航空機(nti-access/sea denial capabilitiesつき)
 などが、従来の同盟国にアメリカの防衛能力への不安を呼び起こしています。

・長距離ミサイルと核爆弾の信頼性が増しているために、アメリカの同盟国に、防衛の保証への
 不安が起こっていることを指摘する必要があります。

・中国の考え方では、中国の軍事力は、ASEANやEACによるアジア諸国の経済的・政治的な取り込
 みとあわせて考えるとき、それらの諸国にアメリカとの関係を再考させるために不足というわ
 けではない、というものです。
144<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´  )さん:2005/07/23(土) 05:58:09 ID:Z6ZQGjIT
アメリカの同盟国を離反させる例として、韓国を考えてみましょう。短期的に韓国がどうなるか
はさておき、長期的に見たとき中国の狙いはアメリカとの同盟関係の意味を疑わせる事にありま
す。これに成功するならば、米韓同盟亡き後には日本が、アジア唯一の基地を提供する、アメリ
カの同盟国として、孤立化して残される事になります。

<結論としての諸点>

・中国のこうした戦略が、どのくらい上手くやれているかという事になれば、私は成功と失敗が
 混在するというべきかと思います。

・台湾というのが、ことのほか難題なわけで、中国は平和的な呼びかけを続けながら、片方では
 軍事力増強で台湾を脅迫するという事をやっています。

・アジアの国の中には、台湾問題で苛立ちを感じる向きもあって、シンガポールの現首相が台湾
 訪問したときには中国との間で一悶着がありました。韓国国会議員でさえ、2004年の台湾大統
 領の就任式での台湾訪問を控えるように言われているということがあります。

アジア諸国は台湾を巡って米中が争うことを望んでいないのですが、同時にアメリカが台湾を見
捨てる事も望んではいません。もしアメリカが台湾を見捨てるなら、アジア諸国は自分のことの
ように感じて、アメリカとの関係を再考せざるを得ないのです。

・指摘しておかなくてはいけないことは、アジアの国、特に日本について、中国が領土の主張や
 海底資源の紛争で(日本に)対立するとき、台湾有事に向けて中国の増強している軍備は、こ
 こでも有効な脅威になる、という事です。それは南シナ海についてもいえる事ですが。

10年位前に中国はミスチーフ岩礁を巡って紛争が有り、フィリピンの主張を無視して軍事力でそ
れを占有したことを忘れてはなりません。

さらに東南アジア諸国と中国の関係が、中国の二つの条件を満たすものであることを忘れてはな
りません。それは諸国とアメリカとの同盟関係の解消と、海外の華僑の政治的活性化に拠るもの
なのです。経済関係強化だけでは中国への不信を解消するには充分では有りません。

・それでは、アジア諸国はこうした中国の戦略に、どう反応しているのでしょうか?日本は勿論
 反発して、防衛力強化に動いています。

・ヴェトナムの首相は、戦争後始めて訪米して、防衛協力、諜報協力を含む話題を話し合いました

・シンガポールとの防衛協力は、最近の戦略フレームワーク協定の締結で強化されています。アメ
 リカ海軍の艦船は従来以上に頻繁にシンガポールに寄港しています。

・オーストラリアとの関係も強化されて、今では日米豪・トライラテラルの外相会議が検討されて
 います。

・インドとの関係強化が進行中であることは、今更言うまでもありません。

・まとめていえば、それらの諸国は中国に反応しているわけで、それは中国の軍事力強化が台湾有
 事にだけ意味があるからでは有りません。

・統計資料を見れば明らかなのですが、インド、韓国、オーストラリア、インドネシアの軍事費は
 ドル換算で増大しています。

・日本、韓国、シンガポール、オーストラリアなどの諸国は軍備の近代化に取り組んでいます。
 アメリカ軍とのインターオペラビリティが一つのテーマです。

・(中国の)封じ込めという用語は語弊があるのでアメリカを含めてどの国も決して使わない用語
 名のですが、現実問題としては効果的な封じ込めが進行中といえます。
145<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´  )さん:2005/07/23(土) 05:58:33 ID:Z6ZQGjIT
・中国のソフトパワーについて触れておくなら、今では中国への留学生が存在します。しかし指摘
 しておきたいのは最近なされたアジア諸国の民主主義体制についての調査で、日本、韓国、台湾
 モンゴル、フィリピン、タイなどを調査したものです。若者達は例外なく民主主義体制を支持し
 ています。

・この調査で面白いのは学生達に、自国の政治体制の改善、汚職追放などを進める上で、中国は助
 けになるかと聞いているところがあるのですが、回答は勿論NOです。

・この調査で民主主義体制の促進に助けになるとされたのはアメリカのみであり、そうした次元で
 は中国のソフトパワー(の優位性)というものはないのです。

・結局のところアジア諸国にとってアメリカを追い出す理由は無くて、アメリカのプレゼンスは
 平和維持、民主化促進、経済発展に寄与するのものです。

・そして、最後に申し上げておきたいことは、大統領の進めておられる民主化の波は中国を例外に
 すべきでは無いということです。私個人は中国が民主化したときに限って、アメリカと中国は
 アジアの平和裏な発展に協力してあたることが出来ると信じるものです。中国国内にもそう考え
 るひとが少なからず存在するのです。

ご清聴ありがとうございました。