北京の外交筋によると、
米中は昨年十一月にチリでの首脳会談で双方が招請した相互訪問について非公式折衝を進め、
今年後半と来年前半の実現案が浮上した。今年十一月にはAPEC首脳会議が韓国・釜山で行われるが、
この前後にブッシュ大統領が訪中する案が出ている。実現すれば、米首脳の訪中は胡錦濤政権発足後初めてとなる。
中国はブッシュ大統領の二期目の就任演説について公式論評を控えているが、
「反テロリズムを基軸に自国の安全保障を強めつつ、
経済権益を拡張する米側の基本路線は一期目と変わらない」(金燦栄・中国人民大学教授)との分析でほぼ一致、
対中関与が積極化するとみている。米中関係は、
中国にとって米国が最大の貿易相手国という経済関係が強く意識されている。
米中関係で「最大の障害」とされる台湾問題でも、
台湾独立を容認しないとの姿勢を米側がこれまで確認したことは評価している。その半面で、
米側統計では千六百億ドルを超える米側の対中貿易赤字など通商上の摩擦が拡大しているほか、
米国内には中国の海軍力増強への警戒や人権問題への批判も根強い。一方、中国側は対米協調を取りつつ、
イラン問題など米国と対立ケースも少なくない。台湾問題では、当面は対立を回避したものの、
双方とも近い将来に台湾海峡危機は起こり得るとみて、軍事的備えを強化している。こうした中で、
米中の軍事交流が本格化し始めた。年明け後、米国防総省のローレス副次官(アジア・太平洋地域担当)が北京を訪れ、
初の「米中政策協議」を開き、台湾、朝鮮問題や反テロで意見を交換。両軍間の年次協議とは別枠で、
情報交換し信頼を醸成することで一致した。このほか、米下院軍事委員会代表団やペリー元国防長官も訪中し、
中国軍首脳と会談した。ローレス副次官はラムズフェルド国防長官の初訪中の意向を表明しており、
こうした交流と対話を通じて、「軍事的危機を抑え、地域の安全保障を確保するのが狙い」(外交筋)という。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/22int003.htm