AFP通信によると米国務省のバウチャー報道官は同日、
米国と英仏印各国大使が相次いでカトマンズを離れたことを明らかにしたうえで、
「これは同国情勢に対する国際社会の深い懸念の表れだ」と強調。国王に対し市民権や人権の保護、
非常事態宣言下で拘束された政治家らの釈放、複数政党による議会制民主主義の回復を求めた。
ネパールに強い影響力を持つインド外務省も同日大使召還を明らかにしたうえで、
拘束された政治家やジャーナリストの即時釈放などを強く求めた。観光以外の主要産業がなく、
世界で最貧レベルのネパールは、日本や欧米、隣接する地域大国のインドの援助に深く依存している。
援助各国は国王が強硬姿勢を取り続ければ経済、軍事支援を凍結する姿勢も示し、
国王に厳しい圧力をかけ続けている。しかし国王は14日、自身が率いる新内閣のナンバー2、3のポストに、
1970年代の国王親政時代に首相を務めた高齢の政治家2人を任命。あくまで国王による直接統治を貫く姿勢を示した。
欧米各国やインドは、国王の措置は王制打倒を掲げて反政府武装闘争を続ける
ネパール共産党毛沢東主義派を勢い付かせるだけ、との危機感を抱き強硬措置の撤回を迫っている。
一方で、ネパールに対する支援停止にまで踏み切ればインドや米国の支援を受けた
軍の対毛主義派掃討作戦にも大きな影響が出るのは必至だ。ネパールは決定的な混乱に陥りかねず、
支援各国もジレンマを抱えている。
政争を繰り返すのみで経済状態の改善や毛主義派への有効な対策が取れなかった
各政党に対する国民の反発も根強い。最大政党の「ネパール会議派」など同国の7政党は14日、
インドのニューデリーで記者会見し、国王に対抗するための統一戦線を結成したと発表したが、
ネパール国内で支持を得られるかは不透明だ。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20050216k0000m030049000c.html