1970年以降現在までの間に、世界中で干ばつに悩まされる地域の面積が
2倍近くに増え、地球温暖化による気温上昇が主因だとする解析結果を、
米国立大気研究センター(NCAR)の研究グループが15日までにまとめた。
干ばつ地帯はアフリカからアジア、欧州、北米の一部など世界のほとんどの
地域で増加。逆に、激しい雨が降る場所も増える傾向にある。いずれも、コン
ピューターによる温暖化影響予測の結果とよく一致。
温暖化が進むと干ばつと豪雨の両方がひどくなるとの予測が、既に現実に
なっていることを示すこれまでにない研究結果で、16日に京都議定書が発効する
こともあって、発展途上国などから温暖化対策を求める声が強まりそうだ。
NCARのアイグオ・ダイ研究員らは1870年から2002年までの世界の降水量
データに河川の流量データなどを加え、地球規模で土壌中の水分の変化を計算した。
土壌中の水分が極度に少なくなる干ばつ地帯の面積は、1950年ごろまでは
ほとんど変わっていなかったが、その後徐々に拡大。70年以降から急激に増え
始め、72年には世界の土地の20%だった干ばつ地帯が2002年には38%までに
なっていた。この傾向はサハラ砂漠以南のアフリカやカナダ、中国東部などで
目立った。一方、アルゼンチン周辺などでは雨が激しくなる傾向にあった。
コンピューターシミュレーションなどによる解析で、干ばつの増加傾向は
世界の気温上昇と非常に高い相関があることも分かった。
グループは「大気中の温室効果ガスの濃度がこのまま増え続ければ、世界の
多くの地域が干ばつや豪雨に悩まされ、災害や食糧供給への影響が深刻化する
だろう」と警告している。
(略)
http://www.sankei.co.jp/news/050215/kok021.htm