【ワシントン=近藤豊和】ブッシュ米政権が北朝鮮の弾道ミサイルなどへの対処で
優先的に推進してきたミサイル防衛(MD)の関連予算が、来月七日に示される
二〇〇六会計年度の国防予算の中で減額される公算が大きくなっている。
米政府の史上最高の財政赤字が続く中、イラクやアフガニスタンでの戦闘で、
将来に向けたハイテク兵器の開発よりも直近の戦費調達が必要となってきて
いることが主要因だが、一連の米軍のトランスフォーメーション(変革・再編)にも
影響が及びそうだ。
(中略)
こうした厳しい環境の中、米国防総省関係筋によると、〇六会計年度からの
六年間で、MD関連予算は総額五十億ドルが減額される見通しとなった。
前年度の〇五会計年度では、MD関連予算は、ミサイル防衛庁取り扱い分の
予算が、約九十二億ドルに上り、前々年度より約十五億ドルも増加。全体の国防
予算が7%増となった中でも、MD関連予算は最大規模の増加幅となっていた。
MD関連予算が〇六会計年度から一転して減額される見通しとなった背景には、
イラクやアフガニスタンでの戦闘長期化によって戦費が想定以上にかさんでいる
ことがあり、米政府は、これまでの戦費以外に〇六会計年度にはさらに八百億−
千億ドルの追加戦費を国防予算とは別に追加計上する必要があると指摘されている。
同関係筋によると、今後六年間の国防予算全体の規模は、〇六会計年度だけは
前年度を上回るものの、その後は、海軍、空軍の先端兵器などを中心に総額五百
五十億ドルが減額される見通しだ。
一方で陸軍や海兵隊など地上部隊の関連予算は、総額二百五十億ドル増加する
見込みになっている。
こうした予算配分は、二〇〇一年の米中枢同時テロ以降、大幅な増額の一途を
たどった米国防予算の規模が今後は縮小傾向に向かうとともに、ラムズフェルド
国防長官が推進する先端兵器の優先利用によるトランスフォーメーションにも
予算的に一定の抑制がかかることを示している。
(略)
http://news.goo.ne.jp/news/sankei/kokusai/20050115/m20050115010.html