韓国政府は16日、辞意を表明していた韓昇洲(ハン・スンジュ)駐米大使の後任に
有力紙、中央日報の洪錫●(ホン・ソクヒョン)会長(55)の起用を内定したと発表した。(伏字は火ヘンに「玄」)
第2期ブッシュ政権が発足する来年1月20日前後に就任の見通し。新聞社首脳を駐米大使に起用するのは異例で、
その狙いに注目が集まっている。中央日報は、朝鮮日報、東亜日報と並ぶ3大有力紙の1つ。
インターネット世代の若者の支持を受けて当選した盧武鉉大統領は、2003年2月の発足以来、
有力紙を名誉棄損で提訴するなど既成メディアと鋭く対立してきた。
特に影響力の強い3大紙の政権批判報道は支持率低下に直結し、盧大統領はマスコミ対策に頭を痛めてきた。
中央日報の大株主でもある洪氏の駐米大使起用は、批判勢力の取り込みを狙った側面もあると受け止められている。
洪氏は、ソウル大卒後、米スタンフォード大で産業工学と経済学を学んだ。
86年にサムスングループ企業の常務理事など、官界や財界の要職を歴任。99年、中央日報会長に就任した。
外交経験は皆無で、今後、北朝鮮の核問題などで難しい調整を迫られるポストだけに破格の人事と言える。
外交通商省報道官は16日、これまで米韓関係が政府レベルの交流に偏っていたとした上で、
第2期ブッシュ政権発足を機に言論界、学界などを含めた包括的関係への発展を目指すと説明。
洪氏の「卓越した国際感覚」と「(米国の)幅広い人脈」に期待すると述べた。
韓国紙などによると洪氏は、97年―2000年にスタンフォード大の韓国総同門会会長を務め、
当時同大に在職していたライス次期米国務長官とも近いという。また、2002年からは世界新聞協会会長も務め、
ワシントン・ポストなど米有力紙の幹部とも親交が深いという。報道官は、
「洪氏が盧武鉉政権の対北朝鮮和解・協力政策を一貫して支持してきた」ことも選定理由になったと指摘している。
洪氏は大手財閥サムスングループの李健煕会長の義弟にあたり、洪氏起用は、
米国内の「サムスンネットワーク」を対米関係強化に活用する狙いもあると指摘されている。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20041217id22.htm