米国務省東アジア担当高官を逮捕 台湾女性スパイと関係か
【ワシントン17日=本紙駐在・森暢平】米国務省の東アジア担当幹部だった
ドナルド・カイザー前副次官補(61)が、台湾への無許可旅行の疑いで逮捕された。
捜査する連邦捜査局(FBI)の真の狙いは、台湾情報機関の女性工作員との
「不適切な関係」を通じて、カイザー氏が機密情報を流していた疑惑。
前幹部の女性スキャンダル発覚で国務省は大揺れだ。
カイザー氏は、ケリー次官補に次ぎ国務省東アジア太平洋局のナンバー2を務めていた。
日本からの要人の多くはカイザー氏と面会し日米関係や基地問題では重要人物。
7月に退職しリビア日本部長が後任に昇格したため、日本の外交筋も突然の人事を
不思議がっていた。実は、そのころスキャンダルの捜査が進み、事実上の解任だった。
「不適切な関係」があったとされるのは、台湾のスパイ機関「国家安全局」の女性工作員(33)。
ワシントンで、大使館業務を代行する「駐米台北経済文化代表処」に出向して、
情報収集に当たっていた。FBIは5月29日、カイザー氏と女性が2人で電車に乗り
ニューヨークに旅行するのを尾行、ワシントン郊外のレストランで
資料をやりとりしているのも確認している。
今回の容疑は昨年秋の台湾旅行だ。カイザー氏は、北朝鮮の核開発問題も担当。
昨年8月末に北京で開かれた6カ国協議では会議終了後の9月1日、北京入りし、
事後処理の指揮を執り、翌日、成田空港に到着した。1980年代に
在京大使館での勤務経験があり、ケリー氏には「東京で6日間休暇をとる」と申告した。
ところが、カイザー氏は9月3日から6日まで、成田から台北に飛び、
日程を合わせて台湾で待っていた女性工作員と密会していた。クレジット・カードには、
台北市内の高級ブランド店で570ドル(約6万3000円)を使った記録があるという。
カイザー氏は台湾旅行を妻にも秘密にしていた。
カイザー氏はもともと米政府内の親北京派と目され、
台湾の工作員と接触していたことが驚きだ。3月の総統選で、
現職の陳水扁氏の情報を得ようと接触するうちに深みにはまったと考えられている。
16日の国務省の記者会見もカイザー氏の問題に集中。
バウチャー報道官は「捜査中」を理由に実質的には何も答えなかったが、
それだけ国務省の受けた衝撃が大きかったと見ることもできる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040918-00000005-ryu-oki