北九州、福岡両市で昨年、会社事務所などから相次いで預金通帳が盗まれ、多額の預金が引き出された窃盗事件で、
福岡県警捜査三課と小倉北署などは二十三日までに、偽造印鑑を使って不正に預金を引き出したとして、
偽造有印私文書行使と詐欺の疑いで、東京都在住の男二人を逮捕した。調べに対し、
二人は「知り合いの中国人に依頼された」と容疑を認めており、県警は背後に中国人主導の広域窃盗グループが
介在しているとみて、全容解明を急ぐ。
逮捕されたのは、東京都葛飾区新小岩一丁目、無職長田恵三(55)と同大田区蒲田本町二丁目の
タクシー運転手杉田守(62)の二容疑者。
調べでは、二人は昨年八月、北九州市小倉北区の銀行支店で、同市門司区の会社事務所の盗難通帳と偽造印鑑を
使って預金九千万円を不正に引き出した疑い。既に福岡地裁小倉支部に起訴されており、二人がだまし取った預金は、
中国人が指定した都内のペーパー会社に送金されていることも判明している。県警はグループ内に
「盗み役」「印鑑偽造役」「現金の引き出し・送金役」の役割分担があるとみており、
逮捕した二人は「引き出し役」とみて追及している。
県警によると、同様の被害は北九州、福岡両市で昨年一―八月に四件発生。特殊工具を使ったピッキングの手口で、
印影がある古い通帳ばかりが狙われている。いずれも引き出された預金は都内の銀行支店口座に送金されており、
被害総額は三億円を超えるとみられる。
各銀行は印鑑偽造を防ぐため届け出印を通帳に押印せず、印影をコンピューターで一括管理するシステムの
導入を進めているが、古い通帳は対策の効果がない。
金融庁も昨年一月、「本人確認法」を施行し、預金口座の開設時や二百万円を超える現金取引を行う際、
依頼者が本人かどうかを確認するよう身分証明書の提出を義務付けているが、偽の証明書が使われるなどして被害は続いている。
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