日本は立憲君主国か

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210名無しさん@お腹いっぱい。
よく引き合いに出されるハーグ陸戦法規だが、ちょいと正確に解釈してみよう。
この場合、問われている条項は「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約第一条ニ基ク規則」の第四十三条、
「国ノ権力ガ事実上占領者ノ手ニ移リタル上ハ、占領者ハ、絶対的ノ支障ナキ限リ、占領地ノ現行法律ヲ尊重シテ、成ルベク公共ノ秩序及ビ生活ヲ回復確保スル為ニ施シ得ベキ一切ノ手段ヲ尽クスベシ」というものだ。
これに基づいて、現行憲法は法理上無効である、という説も確かにある。
しかし、いかんせん説得力がないので少数派だ。
占領地の現行法律を尊重して、の部分までしか見てないから、日本国憲法が無効だなんて、そういう変な解釈になる。
この条規の目的は「公共ノ秩序及ビ生活ヲ回復確保スル為」であって、そのために出来ることは何でもしなさい、というものだ。
当時の日本は、ソ連をはじめ天皇を戦犯として処刑しようと言う勢力にさらされ、統治機構の存立がかかった、非常に危ういバランスの上にあった。
総司令部から見れば、これは今後の統治政策に大きな影響を及ぼす重大な岐路であったわけだ。
総司令部は、天皇を殺したくなかった。
明らかに、今後の統治がやりにくくなるばかりか、日本全土を舞台としたゲリラ戦、という泥沼に陥る危険性があったからだ。
この流れを変えるには、日本が自由主義憲法を制定して、戦勝国に対して、天皇制を残すための納得できる理由を示す必要があった。
だから、総司令部は国際ルールをギリギリの所で尊重しつつ、帝国憲法の改正手続きに基づいて、自由主義憲法を制定させた。
これは、きわめて自然で正当な処置だったといえるのではないだろうか?
問題があるとしたら、それはその後の日本人が、日本国憲法を絶対視して、原案作成者が驚くほど長きにわたって頑なに論憲を拒み続けてきたことだろう。