日本は立憲君主国か

このエントリーをはてなブックマークに追加
10コピペ2
本棚からコピペ

”天皇制自身が厖大な無責任の体系であることを示す第二の事実は、目本の統治構造自身が著しく多元的なことである。もしこれが典型的な立憲君主制であったならば、君主無答責の原則によって、君主の行為については国務大臣が議会に対して責任を負い、議会は国民に対して責任を負うというルールを確立している。ところが日本においては、議会を通ずることなくして直接に、政策決定過程に影響を及ぼし、しかも政治的に無責任な機構や勢力が沢山存在する。枢密院とか貴族院とか制度的に保障されている勢力のほかに、院外団とか右翼とかいうものが、元老とか重臣らに働きかける。そうすると、そのブレッシャアによって国策の大きな決定が議会及び内閣という政策決定過程において一番大事なところをツンボ桟敷に置いたまま、それ以外のところで決定されることになり、しかも責任は負わないのである。この多元的な特殊な統治構造が端的にあらわれているのは、日本の政治の不安定性であって、これは他のいかなる全体主義国家にも見られない特色である。”

<引用>「日本支配層の戦争責任」p.9(丸山眞男『丸山眞男集 別巻』岩波書店 1997)