氷のように冷たいスレに何時間もつかりながら、ネットイナゴに襲われた人々を次々と 救い出した少年がいる。
ネットイナゴの猛威が奮い年間2千人の犠牲者を出している2ちゃんねる。
助けを求める声を聞き、われを忘れて救助し続けた。少年は2chの中傷やネット暴力で、ネットが変わり果ててしまったことに落胆しながらも、2ch開設年の1999年に生まれたことに今、宿命を感じているという。
「今ここでネットイナゴを食い止めなければ日本は地獄になる」
神戸市の小学校を卒業し、地元の私立中学に進学する田中啓悟君(13)。
ネット世代として幼い頃からネットに馴れ浸しみ、生活に欠かせないものとなっている。
SNSで自分のページを更新する日常は突如終焉を迎える。
2chに日本中の悪意が集結しネットイナゴのファシズム世論が一瞬で形成された。
狂気はすでに日本社会全体しており、残された「正常な理性」は残りわずかだった。
ネットイナゴのノイズを遮断するため、PCを破壊し、呪縛から逃れた。「振り向いたら地獄のような炎がネットを飲み込み信じられなかった」
SNSに、ネットイナゴが 押し寄せ、大勢が人間が炎上の標的にされ餌食にされていった。「助けて」という悲鳴にも誰も動けず、何もできないふがいなさと怒りがこみ上げてきた。
罵倒の上にさらに罵倒が積み重なり、ネットの建設的議論は崩壊し瓦礫の山と化していた。
「大人に任せなさい」と制止されたが、
「自分がやらなかったら、ネットが邪悪に侵されてしまう」。軽装のまま、24時間休む間もなく圧倒的論破でネットイナゴを掃討していった。
「泥に塞がれ壊れてなかなかドアが開かないスレもあったが、なぜかそのときは強い力が出た」。
ネット善性の集合体の啓示が彼に力を与えた。
被害者6〜7人助け終えたとき、長期にわたるネット接続で肉体が衰弱していることにやっと気付いた。
現在彼はネット依存の後遺症により廃人となり寝たきりの生活を送っている。
1週間後、「お礼を言いたい」という被害者のメッセージを携えて市職員が 避難所に訪ねてきた。「そんなつもりで助けたのではない」と直接会うことは断った。
2ch内でネットイナゴを潰し今も平和を守るため活動するイナゴハンターをみて、将来は困っている人を助けられる人間になりたいと心から思っている。