岐女短生がフィレンツェの世界遺産大聖堂に落書き【★31】

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420朝まで名無しさん
私は今回多くのイタリアの記事翻訳作業に参加したものです。

「記念建造物への破損は犯罪として起訴できるのにもかかわらず(フィレンツェは謝罪だけで満足した)」
という厳しい論評のラ・ナッツィオーネ紙の記事は結局、最後まで日本側には紹介されませんでした。
地元フィレンツェの有力紙のものであり、一記者ではなく副社長からの公式コメントだったのですが
毎日新聞ローマ支局が挙げて選んだのはすべて一枚板のように口を揃えた意見の他のイタリア紙でした。

しかも何故かイタリア各紙は「男性は部活監督を解任されただけでなく今は教員解雇の危機にある」
という誤情報を報道していたことも驚きました。
「わが国ではあり得ない処罰」、「あまりに硬く」、「厳しすぎる」といった日本人特有の口調がタイトルになり
日本へは一人歩きして伝わりましたが、その元となる文章はいまだ見つかりません。

最も「日本の処分に対して疑問の声や驚きの声をあげている」のは他ならぬ毎日新聞ローマ支局でした。
イタリア各紙が伝えていない「古代遺跡はスプレーにまみれ、アルプスの山々には石を組んだ文字があふれる。
その大半がイタリア人によるものだ。」と編集記者の私見を記事にトッピングしたことからもそれが伝わります。

ですが、「イタリア側の起訴にふれた記事をピックアップしなかった点」とか、
「厳しい」を「厳しすぎる」、また「信じられない一連の出来事」を「有り得ない処罰」と表現したこと、
「日本の出来事は、落書きが合法だと思い込んでいるイタリア人全てに対していい模範」を
「落書きが合法と思っているイタリア人にはいい教訓」と訳したことは、しかしそれがすぐに誤訳捏造であるとは断定できません。

新聞社はその社のイデオロギーやメッセージがあって当然ですから、今回も毎日記事もその範疇の表現報道だと思います。
元記事に目を通した私が、個人的にそれに大きな不満を持っていても、それは仕方がありません。

恥ずかしながら私自身の翻訳した記事にも、また他に翻訳された方のなかにも
語訳や意訳が散見されていますから、もとより人の誤訳を言いたて得る立場でもありません。

いずれにせよ毎日新聞ローマ支局の一記事が今回の騒動を収斂速度を速めたことは紛れもない結果だと思います。