3月25日にギリシャで点火された北京オリンピックの聖火が、欧州から北
米、アジアへと、世界各地でイベントを開催しながら中国に近づいているが、
聖火が行く先々で、チベットの独立や自治拡大を求める国際市民運動の参加者
らが、チベットの旗を振りながら中国を糾弾する叫び声を挙げ、欧米を中心と
した世界のマスコミが、これを大々的に報じている。
運動団体の戦術は、なかなか巧妙だ。たとえば抗議行動に参加する活動家た
ちは、あらかじめ衣服や顔に赤いインクをかけてから、聖火リレーに接近し、
チベットの旗を振り、叫び出す。警官隊の制止を受けて活動家たちが引き倒さ
れ、近くにいるテレビ局のカメラがそれを大写しにする。活動家たちの顔や衣
服は血だらけだ・・・と見る人はどきりとするが、実はあらかじめ活動家自身
が体にかけておいた赤いインクである。活動家は、テレビを見る人に、中国政
府がチベット人を弾圧して血だらけにしているような印象を与えることができる。
似たような印象の同種の市民運動は近年、戦術の巧妙さに磨きをかけつつ、
各方面で起きている。反グローバリゼーションの運動、環境保護運動、反捕鯨
運動、ウクライナやグルジアなどでの反ロシア的な民主化運動などが、やり方
や、米英マスコミとの結託の強さの点で、類似性が感じられる。ウクライナと
グルジアの反ロシア民主化運動では、米当局が裏で運動の技能を伝授していた
ことがわかっている。チベットの反中国運動も、冷戦の一部に組み込まれ、歴
史的に米英当局の影響下にあった。
http://tanakanews.com/e1130ukraine.htm