「もってけ!セーラーふく」はなぜ売れ続けるのか?

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2参考
・従来の日本のラップは印欧語族的(というよりつまり英語的)構造を
そのまま輸入したものだった。
それは強勢アクセントを模倣したリズム、脚韻中心の詩学理論、機能和声(コード)の厳格な縛りであり、
高低アクセント、モーラ拍のリズムによる詩(短歌・俳句)、モノフォニー的詠歌の日本語とは本来相容れない。

・そして日本のポップスは、西洋的な歌唱法を模倣したものだった。
(オペラ的、ロック的な「伸びやかな」発声)
これも日本語の唄とは相容れない。

・もってけ! セーラーふく は、
冒頭のラップにおいてコードはF7に固定だが、メロディラインは日本語の高低アクセントに委ねられている。
そして、これが重要だが、英語的な強勢アクセントを人工的につけてはいない。

・サビは一転してコード進行による和音が支配していると思いきや、
メロディラインは日本語の高低アクセントにほぼ合わせてある。(若干ズレてるところもあるが)
ここで高低アクセントと合っているため、先述した「西洋的な歌声」を
無理に出す必要がないため、ラップと同じ語るような歌声でサビを歌えるようにしているわけだ。

・さらに、ラップとサビが日本語の構造と合っているため、
中間部分のアドリブの「語り」が、何の違和感もなくハマっている。
『コード固定のラップ』『アドリブの語り』『機能和声のサビ』
という三者が音楽的に統一されているところも革新的な部分。
このまったく異なる領域の言語構造的統一が、
曲の元ネタのオレンジレンジのdance2と異なる部分。
http://www.youtube.com/watch?v=VpPNBfskafw
dance2もラップ・語り・サビがあるが、3つは木に竹を接いだように不自然に聴こえる。
もちろんオレンジレンジは従来の西洋コピー型ラップの域も出てはいない。
3参考:2007/06/27(水) 21:06:30 ID:9dzfMECg
オレンジレンジの「dance2」にインスパイアされて作られた「もってけ!セーラーふく」
だが、その間の音楽理論的飛躍は凄まじいものがある。
(もっとも作曲者が意識的にやっているかどうかはわからんが)

西洋音楽の基本であるコード・リズム・メロディの3要素を
全て「日本語の構造」で解決したことがこの曲の真価だと思う。

ちなみに従来のラップ(つまり英語的構造を日本語に持ち込んでしまっているラップ)
だと、いかにも「英語臭い」音楽になっている。
印欧語の強勢アクセントが基本なのだから、
Yes,I am.Yes,I am.Yes,I am.Yes,I am.と繰り返すだけでラップぽくなる。
しかしそれを日本語でやろうすると人工的に強勢アクセントをつけて歌わねばならなくなり、
非常に奇異な音楽になってしまう。
例えばキングギドラの公開処刑↓
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=B01624
歌詞を見ただけで、英語臭さが鼻につくほど無理やり強勢アクセントを
日本語に練りこんでいるのがわかる。そのためキングギドラのラップは
日本語の高低アクセントは完全無視である。
キングギドラは「英語ばっか使う無国籍ラップ 日本語に心動くべきだ」
と歌っているが、キングギドラ自身のラップよりも「もってけ!セーラーふく」
のラップの方がよっぽど日本語に心動いているのである(笑)
4参考:2007/06/27(水) 21:08:01 ID:9dzfMECg
なお
・歌詞に促音、撥音、拗音、長母音が多いのは、
女子高生言葉のくだけた感じを出すためと、歌詞のモーラ数を揃えるためである。
促音、撥音、拗音、長母音は
歌詞は5音と7音から出きており、和歌的構造である。
   なんかだる なんかでる あいしてる
   あれいっこがちがってるんるー
   →5+5+5+77
   なやみんぼ こうてつぼ おいしんぼ
   いいかげンにしなさい
   →5+5+5+77

議論してくれた方は閉音節で西洋のラップに近づけているとおっしゃるが、
それならもっと脚韻を踏むはずである。(語末の音節が脚韻の基本なのだから)
もってけは脚韻をほとんど踏んでないし、むしろ脚韻の快楽を放棄している曲なのだから、
西洋のラップに近づけるために閉音節になっているわけではない。

音楽の三要素を日本語の構造で解決したために
F7コード固定で英語臭い強勢アクセントもなしに高速ラップが可能になった。
いやむしろ、「だからこそ」高速ラップが可能になったといえよう。

例えば、同時期に発売された
「KREVA - くればいいのに feat.草野マサムネ from SPITZ」
http://www.youtube.com/watch?v=YoWRBVTzhVc
は、A♭M7→B♭7→Cm7の繰り返しでラップをやっているが、
英語的強勢アクセントのラップと日本語的高低アクセントのサビが著しい対比をしているのがわかる。