【吉本・島田紳助】事件問題総合スレッド part18

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486夢十夜
こんな夢をみた。

二つになる女の子を負ぶっている。確かに自分の子である。
ただ不思議な事にはいつのまにか目が潰れて、青坊主になってる。
自分が「お前の目はいつ潰れたのかい」と聞くと「なに昔からさ」と答えた。
「それよりおっとうが潰したものはいったい何だったかね」

声は子供の声に相違ないが、言葉つきはまるで大人である。しかも対等だ。

左右は青田である。道は細い。鷺の影が時々闇にさす。
「田んぼへかかったね」と背中で言った。
「どうして解る」と顔を後ろへ振り向けるようにして聞いたら、
「だって鷺が鳴くじゃないか」と答えた。

すると鷺がはたして2声ほど鳴いた。

487夢十夜:2007/05/06(日) 23:13:08 ID:7XKQNyCQ
自分は我が子ながら少し怖くなった。
こんなものを背負っていては、この先どうなるかわからない。
どこか打っちゃるところはなかろうかと
周りをみると、闇の中に大きな森が見えた。
あそこならばと考えた途端に、背中で
「ふふん」という声がした。
「何を笑うんだ」

子供は返事をしなかった。ただ
「おとっつぁん、重いかい」と聞いた。
「重かあない」と答えると
「今に重くなるよ」と言った。


自分は黙って森を目印に歩いていった。
道が不規則にうねっていて中々思うように進まない。

しばらくすると道が二股に分かれていた。自分はその前に立ってちょっと休んだ。

488夢十夜:2007/05/06(日) 23:15:04 ID:7XKQNyCQ
「石が立っているはずだがな」と娘が言った。
なるほど八寸角の石が腰ほどの高さに立っている。
表には「左 日ヶ窪」「右 堀田原」とある。

「左がいいだろう」と娘が命令した。
左を見るとさっきの森がその先にあった。自分はちょっと躊躇した。

「遠慮しないでもいい」と娘がまた言った。
自分は仕方なしに森の方へ歩き出した。

腹の中では、よくめくらの癖に何でも知ってるなと考えながら
一本道を森へ近づいてくると、背中で
「どうもめくらは不自由でいけないね」と言った。
「だから負ぶってやるからいいじゃないか」
「負ぶって貰ってすまないが、どうも人に馬鹿にされてまずい。
 親にまで馬鹿にされるからまずい。」

489夢十夜:2007/05/06(日) 23:17:03 ID:7XKQNyCQ
なんだか厭になった。早く森へ行って捨ててしまおうと思って急いだ。
「もう少し行くとわかる・・・ちょうどこんな晩だったな」と背中で独り言の様に呟いた。
「何がっ」と際どい声を出して聞いた。
「何がって、知ってるじゃないか」と子供は嘲るように答えた。

すると何だか知ってる様な気がし出した。
けれどはっきりとは分らない。
ただ、こんな晩であった様に思える。
そうしてもう少し先に行けば分るように思える。
分っては大変だから、分らないうちに早く捨ててしまって、
安心しなければならない様に思える。自分はますます足を早めた。
490夢十夜:2007/05/06(日) 23:18:13 ID:7XKQNyCQ

雨はさっきから降っている。
路はだんだん暗くなる。
ほとんど夢中である。

ただ、背中に小さい娘がくっついていて、
その小僧が自分の過去、現在、未来をことごとく照らして、
寸分の事実ももらさない鏡のように光っている。

しかもそれが自分の子である。
そうしてめくらである。
自分は堪らなくなった。
491夢十夜:2007/05/06(日) 23:24:39 ID:7XKQNyCQ

「ここだ、ここだ、ちょうどその沼のところだ」

雨の中で娘の声ははっきり聞こえた。
自分は思わず止まった。いつしか森の中へ入っていた。
一間ばかり先にある黒いものは、確かに娘のいうとおり沼に見えた。

「おっとう、その沼だったね」
「うん、そうだ」と思わず答えてしまった。

「お前が私をその沼に沈めて殺したのは今から20年前だね」


自分はこの言葉を聞くやいなや、今から20年前のこんな闇の晩に、
娘を沼に沈めて殺したという自覚が、忽然として頭の中に宿った。
おれは人殺しであったんだなと、はじめて気がついた途端に、
背中の児が急に石地蔵の様に重くなってきた。