(2)確定判決が請求人の自白に任意性と信用性が認められるとした点について
確定判決の自白に関する判断は正当である。その点は、自白に至った経過とその自白の内
容から明らかである。
>>252の続き
ア 自白に至った経過とその評価について
最初に、請求人が自白した調書は、昭和36年4月2日付の司法警察員に対する供述調書
である。請求人は、4月2日の取り調べにおいて、前日に引き続いて、妻〔妻の名〕が犯人
である旨の虚偽の供述を行い、その旨の供述調書2通が作成されたが、その後の同日午後
7時過ぎからの取り調べにおいて、自らが犯人であることを自白した。そして、最初の自白
調書は、翌4月3日の午前1時40分ころまでの間に作成された。この供述調書は、犯行に
至った動機から、犯行状況、犯行に使用した毒物等の準備状況、犯行隠蔽(いんぺい)行為
等の全般にわたるものであり、供述を補足する図面3通も作成添付されている。短時間に作
成された点だけからいっても、請求人が自ら進んで供述し作成されたことは明らかである。
請求人が、自らが極刑となることが予想される重大犯罪について、このように、自ら進ん
で、あえてうその自白をするとは考えられない。(中略)
4 原決定の判断について(検討の結論)
新旧証拠を検討しても、状況証拠によって請求人が本件犯行を行ったと十分認定すること
ができ、請求人の自白も信用性が高いのであり、確定判決の事実認定に合理的な疑問は生じ
ない。
第3 結論
再審を開始し、刑の執行を停止した原決定の判断は失当である。その他の提出証拠を総合
して検討しても、再審を開始する事由は認められない。
(毎日新聞 2006年12月26日 東京夕刊より一部引用〔氏名省略〕)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/archive/news/2006/12/26/20061226dde007040022000c.html