名張毒ぶどう酒事件

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171朝まで名無しさん
名張毒ぶどう酒事件:再審決定取り消し要旨

 (3)新証拠3について
 新証拠3は、犯行に使用された毒物はニッカリンTでなく、別の有機燐(りん)テップ製
剤であった疑いがあることを立証事項とする、京都大学大学院教授宮川恒作成の鑑定書、鑑
定補充書及び宮川の原審における証言並びに神戸大学大学院教授佐々木満作成の鑑定書及
び佐々木の原審における証言である。原決定は、本件犯行に使用された毒物がニッカリンT
であれば、加水分解速度の速いTEPPが検出された以上、それより加水分解速度の遅いト
リエチルピロホスフェートも当然検出されなければならないのに、事件検体(本件ぶどう酒)
からトリエチルピロホスフェートが検出されていないことからすると、犯行に使用された毒
物はニッカリンTでなく、三共テップ等の別の有機燐テップ製剤である可能性が高いという。
 しかし、トリエチルピロホスフェートの加水分解速度が、TEPPに比して遅いとはいっ
ても、経過時間、アルコールの影響、その時の気象状況等々の条件いかんによって、TEP
Pが検出されている段階でも、トリエチルピロホスフェートがその検出限界を下回って、検
出されないということもあり得る。そして、事件当時の三重県衛生研究所のペーパークロマ
トグラフ検査においては、対照検体の方がはるかにトリエチルピロホスフェートを検出しや
すい条件下にあったのに、「うすい」という程度(量が少ないことを示す)にしか捕捉でき
なかったのであるから、対照検体以上に希釈が行われ、検査までの時間が経過している事件
検体(本件ぶどう酒)においては、検出限界を下回り、ペーパークロマトグラフ上に検出さ
れなかったとしても決しておかしくない。したがって、原決定がいうように、本件で使用さ
れた毒物(農薬)がニッカリンTでなかった可能性が高いということはできない。有機燐テ
ップ製剤であるニッカリンTが本件犯行に使用された可能性も十分に存する。
(毎日新聞 2006年12月26日 東京夕刊より一部引用)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/archive/news/2006/12/26/20061226dde007040022000c.html