名張毒ぶどう酒事件

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166朝まで名無しさん
検察側の異議を認め再審開始を取り消した決定の要旨(名古屋高決平成18年12月26日)

 【判断の理由】
 自白を除く、新旧証拠を検討する。
 公民館いろりの間付近から発見された証拠物、その証拠物の形状、その他の客観的事実
によれば、ぶどう酒に毒物が混入されたのは、いろりの間付近と認められるが、元被告以
外にはぶどう酒に農薬を混入する機会がなく、その実行は不可能。
 元被告は、ニッカリンTを入手、保管しており、事件当日、ぶどう酒を公民館に自ら運
び込んでから、被害者らが集まってくるまで、ただ1人でいた間に、犯行を行うことが実
際に可能だった。
 以上の事実が認められ、そのほかにも、元被告には、妻と愛人を殺害する動機となりう
る状況が存したことが認められ、さらに犯行を自白する前には、明らかに虚偽にわたる供
述を行い、亡くなった自分の妻を犯人に仕立て上げようとしていることが認められる。
 これらの状況事実を総合すると、元被告が犯行を行ったことは明らかで、状況証拠によ
って、元被告が犯人であると認定できるとした確定判決の判断は正当である。
167朝まで名無しさん:2007/01/07(日) 22:12:09 ID:/uyC2AFl
>>166の続き
 原決定は、薬物に関する新証拠(鑑定など)に基づき、ニッカリンTであれば当然検出
されるはずの物質であるトリエチルピロホスフェートが飲み残しのぶどう酒から検出され
ておらず、犯行に使用された農薬は、ニッカリンTではない可能性が高いとする。
 しかし新証拠の鑑定内容を詳細に検討し、事件当時の三重県衛生研究所の検査結果など
とも併せ検討すると、混入されたのがニッカリンTであっても、トリエチルピロホスフェ
ートが検出されないこともあり得るものと判断され、使用された農薬がニッカリンTでな
いとはいえない。
 使用毒物は、有機燐テップ製剤であることが判明しており、同じ有機燐テップ製剤であ
るニッカリンTが使用された可能性は十分に存する。
 原決定は、新証拠(鑑定など)に基づき、証拠物の4本足替栓は、本件ぶどう酒瓶のも
のではない可能性があるというが、本件の瓶に装着されていたものに間違いない。
 また原決定は、新証拠(開栓実験など)に基づき、公民館でぶどう酒が開栓される前に、
封かん紙を破らない偽装的な開栓が行われ、そこで毒物が混入された可能性があるという
が、証拠物の状況からは、公民館での開栓が間違いなく最初の開栓であったことが認めら
れ、偽装的な開栓があったとは認められない。
 さらに原決定は元被告の自白の信用性を否定するが、自白は事件直後の任意取り調べの
過程において行われたもので、自白を始めた当初から、詳細でかつ具体性に富むものであ
った。元被告が勝手に創作したような内容とは到底思われない。
 そしてその内容は、事件現場から発見された証拠物や客観的事実に裏打ちされているも
ので、信用性が高いということができる。この判断は、新証拠を併せて検討しても変わら
ない。原決定は、供述の変遷があり迫真性に欠けるというが、その判断は、一面的である。
168朝まで名無しさん:2007/01/07(日) 22:12:54 ID:/uyC2AFl
>>167の続き
 【結論】
 新旧証拠を検討しても、確定判決の事実認定に合理的な疑いがあるとはいえない。新証
拠に証拠の明白性を認めた原決定の判断は誤っている。無罪を言い渡すべきことが明らか
な新証拠があるとして再審を開始し、刑の執行を停止した原決定は失当である。また、そ
の他の提出証拠を検討しても、再審を開始する事由は認められない。
 異議申し立ては理由がある。原決定を取り消し、再審請求を棄却する。
http://www.fukuishimbun.co.jp/nationaltopics.php?genre=detail&newsitemid=2006122601000171&pack=CN(福井新聞 12月26日午前11時41分)