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先輩たちの体験談。旧日本軍では、新兵いじめがひどかった。上官が、新兵を
並べて頬を殴る。棒で尻を殴る。新兵同士向き合って、相手を叩かせる。手加
減すると、死ぬほど殴られる。これが毎日。ある日、広場で全員正座。夜にな
り、雪が兵の胸まで積もり、トイレはそのまま漏らした。要領のいいのは雪に
隠して膝をくずしたが、正直者は崩さなかったという。そのあいだ、上官たち
はうまいものを食べていたという。
のさばる馬鹿者たちは国家のためにこうしたのか?そうではなく、自分の欲求
不満のために、権力を味わったのである。慰労会では、新兵を柱に登らせて、
蝉の鳴き声をさせた。卑猥な歌を歌わせた。気品があったり、馬鹿になれなか
ったりすると、暴行の雨であった。馬鹿者は、自分が馬鹿であることに、つも
り積もった欲求不満が溜まっていた。その憎しみが、高貴な人間の上に襲いか
かったのである。だから戦場に出て行ったとき、敵を撃たずに、背後から上官
を撃ち殺した話も広く伝わっていたと