【サブカル叩き】表現の自由は誰のモノ【大谷昭宏55】

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21元東京都治安対策担当部長の証言1/3
治安悪化説に異論

 少年による凶悪犯罪が増えるなど日本の治安は悪化しており、今や危機的状況にある−。そう
思っている人は多いのではないだろうか。本社加盟の日本世論調査会が今月行った意識調査で
も、八割の人が「治安は悪くなっている」と答えた。こうした「治安悪化説」に疑問の声が飛び出し
た。異論の主は、久保大・元東京都治安対策担当部長(60)。昨春まで都の緊急治安対策本部
の副本部長だった治安対策のプロだ。「治安悪化説」や、それに基づく行政施策のどこに問題が
あるのか、久保さんに聞いた。 (社会部・加古陽治)

 ――「治安の悪化」について盛んにいわれるが、実際はどうなのか。

 「統計数値を根拠に、最近になって犯罪が増えているというのは一種の錯覚。例えば犯罪の認
知件数は被害者が届けるかどうか、警察が面倒くさがらずに受け付けるかどうかで増減する」

 「犯罪件数は氷山と一緒で、全体の大きさは変わらなくても(警察や人々が)水位を上下させる
ことで、水面に出ている部分が大きく見えたり小さく見えたりする」

 ――なのになぜ「治安の悪化」という言葉が独り歩きしたのか。

 「ベストセラーを生むためには、作者のほかにその作品を売り込む者も必要だ。あえて作者を
挙げるとすれば警察。警察は財務省から予算と人員を獲得したり、存在感を高めたりするため
に『治安の悪化』という言葉を持ちだし、利用した。マスメディアも好んでそれを語り、支持した」