<布帳馬車>企業評価の分かれ目
2008-02-06
積水ハウスに勤務中、訪問先の顧客から差別的な発言を受けた徐文平さんを原告とする
「在日社員本名裁判」で和解が成立して半年が経過した。和解内容は被告が謝罪し、
解決金30万円を支払うというもの。「民族差別的な発言は社会的に許されない」ということが
認められたのは大きな前進だった。
当初、徐さんは裁判闘争には消極的だった。最後は企業が裁判を全面的に支援すると明言
したことが、徐さんを後押した。企業が本名を名のる在日社員を応援するなんて時代が
変わったものだと当初は感心したものだった。ところが徐さんの表情が晴れない。もうかなり
前から抑うつ状態が続いていたようだ。
提訴の動きが報道されると、「右翼が動いている」ことを理由に、徐さんは外勤から内勤で
総務に配置替えになった。総務といっても、これといった仕事が与えれているわけではない。
技術畑出身の徐さんにすれば大変な苦痛だったことだろう。裁判が終わるまでという条件
だったため、じっと我慢したという。
支援会によれば2月1日には原状回復する方向で話が進んでいた。しかし、この日、
会社側からはなんの音沙汰もなかった。結論は持ち越しとなった。「民族差別と闘うとは
こういうことだったのか」と、徐さんは落胆を隠さない。
都内の某ホテルは右翼の街宣車を恐れて日教組に会場を貸さず、社会的な批判を受けた。
逆に積水ハウスは企業評価を高めるいいチャンスだろう。(K)
(2008.2.6 民団新聞)
http://mindan.org/shinbun/news_bk_view.php?page=1&subpage=133&corner=8