「支那事変の経験より観たる軍紀振作対策」(昭和十五年九月 陸軍省)より
主として事変地に於て著意すべき事項
一、皇軍の本質並に今次聖戦の意義を的確に把握し其の行動をして之に即応せしむるを要す
事変勃発以来の実情に徴するに赫々たる武勲の反面に掠奪、強姦、放火、俘虜惨殺等皇軍たる
の本質に反する幾多の犯行を生じ為に聖戦に対する内外の嫌悪反感を招来し聖戦目的の達成を
困難ならしめあるは遺憾とする所なり宜しく皇軍の本質並に今次聖戦の目的は抗日排日容共政
権及其の軍隊を打倒し東洋永遠の平和を確立し新秩序の建設に寄興するに在りて決して一般民
衆を敵とするものに非ざる所以を一兵に至るまで徹底せしめ其の行動をして之に即応せしむる
こと肝要なり
----------------------------------------------------------------------------------------
既に昭和15年9月の時点で、「聖戦目的の達成を困難ならしめある」ほど「内外の嫌悪反感を
招来」するような「掠奪、強姦、放火、俘虜惨殺等」の不法行為がはびこっていた、ということを、
陸軍省自らが認識していましたとさ。