これについて、井上毅は伊藤博文宛に「謹具意見」を提出。 @ 我が国の女帝即位の先例は、実際には摂位の類である。 A 女帝と皇夫との間に皇子が誕生すれば、第七により、皇太子として跡を継ぐことになるが、 この皇太子は、女系の血統ではあっても氏は源姓となってしまう。 皇位継承には祖宗の大憲があり、ヨーロッパ諸国のように女系異姓を認めるべきではない。 B ヨーロッパ諸国においても、サリック法の国家(サリカ法典“Lex Salica”フランク王国など)では、 女性による王位継承を認めていない。 C 婦人参政権を認めずして女性が最高政権を握ることを許すというのは、理の矛盾である。 D 起草者は将来、万一にも皇胤が絶えたときのためにこのような条項を設けたのであろうが、 皇胤を繁栄させるためには他にも種々の方法があり、このような憂慮を払拭するに十分である。