可能性の問題だけ言えば、アポロは全部嘘だったってどころか、
アメリカなんて国は最初から存在してない、全部TVの中だけのお話だって可能性だとか、
いまあなたが見ているこの「世界」は全部コンピューターが作った仮想現実で
現実のあなたはタンクの中で浮いているって可能性だとかも、完全に否定することはできない。
そういうので有名な例としては、「この世界はほんの5分前に作られたばかりのもので
記録とか記憶と思っているものも全部、5分前に作られたものに過ぎない」
という仮説を完全には否定できないってのがある。
もちろんこれは極端な例として出してるだけで、
本気でそれを信じているわけでも考慮に入れろと主張しているわけでもない。
「可能性がゼロでない/否定できない」というだけで考慮に入れようとするならば、
そういった数限りない訳の分からない仮説も考慮に入れなきゃならなくなるってことを
分かりやすく示しただけのものだ。
科学的な態度ってのは、なにかを「これが絶対的な真理である」と決めて
それをただひたすら信じ続けるってものじゃなくて、
数ある「仮説」の中から、もっとも信じるに足りるもの、否定する要素が最も少ないものを
とりあえず「それが正しい」ということにしようとするもの。
そうしないと、数限りない「仮説」の海に埋もれて一歩も先に進めなくなるからだ。
仮にある時、アポロ計画が全部嘘で、月着陸も全部捏造であると
信じるに足る確かな証拠が出れば、「多くの科学者」も、もちろん私も、
考えを改めることだろう。ただ、現状ではとてもじゃないがアポロが捏造だなどと
信じるに足る証拠など何一つといっていいほどに存在しないのが事実。
捏造説を声高に唱える人間が挙げる「不自然な点」も、すべて宇宙環境という
特殊な状況で起こったものとして説明がついてしまうものばかり。
アポロ計画が実在したことを示す多くの証拠を全て無視して
捏造説を支持させるには、あまりにも貧弱な根拠に過ぎない。
だから、私はアポロ計画が実在し、人類は月に立ったと信じている。