テポドンは日本に数兆円のTMD費用を払わせる”アメリカの国益のため”のミサイル
http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h18/jiji060620_362.htm 先ずここでアメリカ、日本、北朝鮮の安全保障上のStatus(立場)を明確にしておこう。
アメリカは北朝鮮に、核開発と核戦力の存在を認めた上で、「核の廃絶」を求めている。そしてその交渉は6カ国協議で行われている。
アメリカのブッシュ大統領もライス国務長官も繰り返し「アメリカは北朝鮮に対して武力行使はしない」と声明している。
北朝鮮の脅威から安全を守ってくれる唯一の国であるアメリカが北朝鮮に武力行使をしないのなら北の核の脅威から日本の安全は保障されず、
いわば日本の安全を保障してきた「アメリカの核の傘」は消滅したも同然である。
今回麻生外務大臣にシーファー駐日大使が「アメリカは軍事的制裁は考えない」と言った言葉は「アメリカは北朝鮮の対日脅威を放置する」という意思表示である。
北朝鮮が困窮しているのはアメリカの金融制裁である。アメリカにこの制裁を解除させるには北朝鮮は「アメリカの国益に資する」必要がある。
1998年8月31日、日本の三陸沖の上空をテポドン1号が通過したが、実はアメリカの国益に大きく貢献した。当時小渕内閣は8月26日の閣議で、
日米台で推進するTMD(戦略ミサイル防衛)基地選定のための調査費9億8千万円の拠出を却下した。
北朝鮮はこうしたタイミングを逃さず、閣議の5日後テポドンを日本に向けて発射したのである。
日本は大騒ぎになり、(今日のように)アメリカに情報を求めた。
するとアメリカは「北朝鮮は日本に向けて軍事ミサイルを発射した」と報告すると同時に、
TMD調査費を閣議で否認したことに遺憾の意を表した。
あわてた小渕首相は9月2日の閣議で調査費を了承すると、
アメリカは「あれは軍事衛星ではなく人工衛星の実験らしい」と言って来たのである。
米軍再編成の一環で国内外の米軍施設の統廃合費用でアメリカは日本に数兆円の負担を要求しているが、日本はなかなか応じない。
今後TMDの5兆円の負担問題も目前である。またアメリカの対日予算請求をスムーズに通すにはどうしたらいいのか?
北朝鮮がアメリカの国益に資する最善の戦略、それが今回のテポドン2号発射である。