韓国のくらしにとけこんで 黒田福美さん
http://www.shinfujin.gr.jp/news/2002/4-18.html ずっと日本に支配され圧迫されてきて、戦後も日本人からなんとなく差別や偏見をもって
見られつづけてきたし、話題にのぼることと言えば指紋押捺(おうなつ)(※)や人権擁護、
差別撤廃…そんなイメージばかりがつきまとっていたと思うんです。「そんな理不尽なこと
あんまりじゃないの」という気持ちでした。
「近くて遠い国」といわれ、ぜんぜん知らないのに差別意識だけがまん延している日本。
いま、若い女性たちがリピーターになって韓国に行っています。潜在意識的に
「人」に魅力を感じていると思うんですね。日本が殺伐としてきたなかで、
韓国のおばさんたちのあたたかさみたいなものを心地よく思う日本人が増えてきて
いるんじゃないかという気がします。
韓国のことを知っていくうちに、戦争から生まれた理不尽にも行き当たりました。
私自身、ここ何年か、沖縄戦で特攻兵士として亡くなった朝鮮出身の一兵士の足跡を
追いかけていました。91年のある晩、夢にその兵士が現れ「残念なのは自分は
朝鮮人なのに日本人の名前で死んだことだ」と打ち明けられたのです。そこから
長い紆余曲折(うよきょくせつ)があって…。95年―戦後五十年のとき、新聞の連載
エッセーでそのことを書いたところ、韓国からも激励の手紙が届きました。知って
しまったものの責任だと思っています。