★貧富、階層、地方と都会★ Part2

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662朝まで名無しさん
http://www.utobrain.co.jp/review/2003/090102/ P368〜P371

 東京一極集中を決めた重要法案団体令が公布される前に、すでに全国団体を
つくっていた業界がありました。典型的なのは繊維業界です。明治時代から
繊維業界には全国団体があり、そのほとんどが大阪にありました。
 政府では、「これはけしからん」ということになったのですが、当の団体は
大阪から動かない。1960年代になって、大阪の繊維団体を東京へ移すことが
通産省の重要テーマになりました。
 繊維団体は紡績協会、毛織物協会、化繊協会、アパレル協会など、十数団体、
その職員も800人ほどいる。その上に繊維新聞などのマスコミも大阪にあります。
これら繊維業界と通産省の摩擦が激しくなりました。
 そこへ、昭和43(1968)年に日米繊維摩擦が起こります。これは国際問題だから
国が交渉しなければならない。アメリカは日本の繊維品輸出を自主規制するように
主張しましたが、その限界の数量をどうするかが決まらない。
 ところが通産省は、対米交渉するには大阪の繊維団体が東京へ移転することが
先だ、という条件を出しました。当時は通産省には繊維局があり、局長は三宅さん
という人でしたが、「敵は米国にあらず大阪なり」と断言したものです。
 当時の宮沢喜一通産大臣の在任期間には解決できませんでした。ようやく次の田中角栄
通産大臣になり、宮崎輝さんという当時の旭化成の社長が「800人の職員をいっぺんに
移せといわれても住宅も手当てできないし、コストもかかるから、紡績や化繊、合繊、
毛織物などいろいろな団体の上に、屋上屋を架すような繊維工業連合をつくって、その
本部を東京へ置き、私がその会長になって三田のマンションに住みますから、何とか
アメリカと交渉してください」ということで決着しました。
 しかし、その後も通産省は圧力をかけ続け、いまや繊維工業団体の中で大阪に本部事務局
が残っているのは、紡績協会ただ一つ。あとは全て移転しました。
 同様に名古屋にあった陶磁器工業会、京都にあった伝統産業振興会なども東京に
移転することを強いられました。
663朝まで名無しさん:04/04/17 02:32 ID:tO/KkLXR
情報発信の中には、紙と電波があります。紙については昭和16(1941)年の統制で
「元売り集中体制」をつくった。日本出版販売(日販)、東京出版販売(現・トーハン)
などは元売り(取次)会社ですが、出版社から各書店へ書物(書籍・雑誌)が流れるまでに、
再販制度によって必ず元売り(取次)を通さなければいけないことにした。
そしてその取次会社は東京都以外では認めない、という制度にしたのです。
 これには当時の検閲の問題もありました。当時の文部省には思想局があり、警視庁には
思想警察がありました。府県を越えて流通する本は全て東京都で検閲する。こそこそと
東京都以外で出版されては困るので、全て東京に持ってくるようにしたのです。
 そのことが今も厳格に守られて、大阪市で出版した本を橋ひとつ向こうの尼崎市で売る
のにも、必ず一度東京都へ持ってこないと絶対に許さない。一時はそれに反発して
ダイエーが出版社から本を直接買い取るとか、長野県や香川県の本屋さんが元売り業を
試みるといった動きがありましたが、強烈な圧力で潰してしまいました。これが今の
再販(売価格維持)問題で話題になっている点です。
 本の場合は東京へ一回運んで、また送り返してもそれほどコストはかかりませんが、
雑誌の場合は締め切りが1日早くなるという問題があり、週刊誌などは東京以外では絶対に
つくれません。
 このため、大阪毎日新聞が発行していた経済雑誌の「エコノミスト」も編集局を
昭和34(1959)年に東京へ移しました。PHP研究所は京都の出版社ですが、雑誌に関する
限りは「PHP」本部を除いて編集局を東京へ移しました。
664朝まで名無しさん:04/04/17 02:33 ID:tO/KkLXR
戦後日本で最初にできた民間放送局は大阪毎日放送のラジオ放送ですが、次にテレビの
民間放送局ができたときに官僚の手で「キー局」システムがつくられました。このシステ
ムは世界に類例のない珍しい制度です。
 キー局システムとは、キー局だけに全国番組編成権を与えるというものです。それ以外
の放送局は、放映権はあっても全国番組編成権がない。従って、大阪、名古屋、札幌、福岡
などの準キー局は全国に放送はできるが、それを行うには東京のキー局に「ぜひ全国放送に
入れてください」と頼みに行かなければならない。
 東京のキー局では地方担当ディレクターに「大阪でつくるのはどんな番組化かね」と聞か
れる。「いや、これは若いデザイナーとエンジニアの恋の物語です」などというと、
「そいうものは東京でつくるから。大阪は細腕繁盛記かヤクザものでないとダメだよ。俳優は
誰を使うの?」「今、流行りの浜崎あゆみさんを使います」「あ、それは東京で使っているから。
大阪は吉本の漫才にしなさい」などと、こと細かく干渉します。
 私も大阪や名古屋でいくつも番組をつくった経験があります。関西空港を舞台にした
「向かい風の朝」というドラマをつくったときでも、関西空港を舞台にしたドラマなのに、
「東京芝の大阪朝日放送東京支社スタジオで製作すること」という条件がつきました。

 キー局システムは日本の大問題です。BS放送までもがキー局に割り振られたので、
ますます東京一極に集中する方向にあります。他の地域、大阪や名古屋からも申請が
出ましたが、免許が下りた8チャンネルはすべて東京都になりました。