「 ところがこの二、三年、決着がついているはずの南京大虐殺について、
そんなのはデマだ、デッチ上げだという否定論がまた賑やかになってきた。
『正論』『諸君!』『SAPIO』などの雑誌や『産経新聞』を舞台にして、
破産したはずの否定論が復活してきた。また南京大虐殺を全面的に否定する著書も、
次々刊行されている。否定論そのものの内容は、かつてあった議論の蒸し返しで、
すでに論破されているものである。しかし、大量の宣伝を繰り返すことで、事実を知らず、
論争の歴史にも詳しくない世代への働きかけを狙っているのである。
このような南京大虐殺否定論は、歴史の事実を隠蔽し、日本の戦争を美化し、
軍事大国の復活に道を開こうとする危険な意図を持っているといえるのである。
だから学問的、論理的に成り立たない議論だからといって、放置しておくわけにはいかない。」