死刑 Vol.XX-07

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435朝まで名無しさん
まずもって網羅的なものとして、
 A.法学セミナー増刊『死刑の現在』(日本評論社、1990年)
 B.『年報死刑廃止』シリーズ、インパクト出版会
  (http://www.jca.apc.org/~impact/book/haishi.html
の文献情報が重要で、この部分だけでもコピーしておくと
いいでしょう。これで日本での死刑に関するおおよそ重要
な文献は、ほぼ把握できます。
なお、Aは論点などもコンパクトにまとまっており、データ
などは古くなりましたが、総合的に見て現在でもまとまり
のよさでは一番かもしれません。十分役に立つと思います。

理論面での定番的文献としては、
 C.団藤重光、『死刑廃止論 第六版』(有斐閣、2000年)
 D.アムネスティインターナショナル編『死刑と人権』(成文堂、)
 E.三原憲三、『死刑存廃論の系譜 第四版』(成文堂、2001年)
 F.菊田幸一『新版 死刑―その虚構と不条理』(明石書店、1999年)
 G.佐伯千仭、団藤重光、平場安治編著『死刑廃止を求める』(日本評論社、1994年)
などがあります。
436朝まで名無しさん:03/07/03 02:33 ID:ZEHeDmzp
あと、個人的には死刑囚や死刑執行の実態を示すもの、
また被害者遺族の心情についてかかれたものなどを読ん
でおくことが重要だろうと思っています。その点では、
 G.加賀乙彦『死刑囚の記録』(中公新書、1980年)
H.谷喜一『死刑執行の現場から―元看守長の苦悩と死刑存続の可否』(恒友出版、1997年)
 I.大塚公子『死刑執行人の苦悩』(角川文庫、1988年)
 J.免田栄『死刑囚の告白』(イースト・プレス、1996年)
 K.坂上香『癒しと和解への旅』(岩波書店、1999年)
などが代表的なものとして特に重要だと思います。
I.は確定死刑囚でありながら、アリバイの認定により冤罪が
明らかになり再審で無罪となった免田栄氏による証言で重要です。
また、Kは死刑事件の被害者遺族による手記です。

ちなみに存置論の文献は極めて少ないです。
まぁ比較的まともなものとしては、
 L.植松正、「死刑廃止論の感傷を嫌う」、『法律のひろば』、 第43巻第8号、1990年、11-15頁
あたりでしょうか。なお近年珍しく数冊出版されていますが、
正直理論水準はかなり低いとしかいいようがありません。が、一応、
 M.中野進『国際法上の死刑廃止論』(信山社、2001年)
 N.重松一義『死刑制度永久必要論』(信山社、1995年)
などがあります。
437朝まで名無しさん:03/07/03 02:33 ID:ZEHeDmzp
なお参考までに死刑の問題を理解する上で重要な法律学−
憲法、民法、刑法に関して、あくまで入門書としてですが、
以下のものをあげておきます。
 1.星野英一『法学入門』(放送大学教材、1995年)
 2.樋口陽一『憲法 改訂版』(創文社、1998年)
 3.芦部信喜『憲法 第三版』(岩波書店、2002年)
 4.星野英一『民法 財産法』(放送大学教材、1994年)
 5.星野英一『家族法』(放送大学教材、1994年)
但し肝心の刑事法ではどうも決定版がなく、
 6.内藤謙『刑法原論』(岩波書店、1997年)
 7.平野龍一『刑事訴訟法概説』(東大出版会、1968年)
 8.岩井 宜子『刑事政策 改訂版』(尚学社、2002年)
 9.渡辺洋三・江藤价泰・小田中聰樹『日本の裁判』(岩波書店、1995年)
などをとりあえずあげておきます。
またその背後にある近代的な政治思想法思想を理解するためのものとして、
 10.福田歓一『近代の政治思想−その現実的・理論的諸前提』(岩波新書、1970年)
 11.福田歓一『近代民主主義とその展望』(岩波新書、1977年)
 12.高畠通敏『増補新版 政治学への道案内』(三一書房、1984年)
をあげておきます。
438朝まで名無しさん:03/07/03 02:51 ID:ZEHeDmzp
>>436
失礼。
>また、Kは死刑事件の被害者遺族による手記です。
の部分は、
「また、Kは死刑事件の被害者遺族と加害者との交流を行っている、アメリカの「ジャーニー・オブ・ホープ」を取材したドキュメントです。」
に差し替えます。
前の稿がそこだけそのままになっていました。

ちなみに、日本の被害者遺族による手記としては、
O.山下京子『彩花へ「生きる力」をありがとう』(河出書房新社、1998年)
や、被害者遺族へのカウンセリングを行う精神科医による、
P.小西聖子『犯罪被害者の心の傷』(白水社、1996年)
などがあります。