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ところが自民党側はあくまでも「焼却するための保管」と考えていた。二度と
市場に出ないと印象づければ、消費が回復し、肉や牛の値も戻るという狙いだった。
12月6日、対策本部幹部会。「肉が安全かどうかではない。焼くとはっきり
言わないといけない」。野党側が緊急法案で「焼却」を打ち出したこともあり、
議員たちは激しく迫った。不手際続きで同省の信用は地に落ちていた。
そして25日。保管肉を焼却する「市場隔離牛肉緊急処分事業」は閣議決定された。
201億円の予算が上乗せされた。
対策本部の議員の多くはいわゆる「農水族」。党農水部会の要職を務め、畜産や
酪農団体の幹部の肩書をもつ。
「肉が安全という事実と国民に安全と思ってもらうことが違うのは承知している。
が、声の大きい議員の言いなりに事を進めた結果、中途半端に何百億円もの税金を
使う事業を作ってしまった」と認める農水省幹部は少なくない。農政に日が当たり
にくくなるなか、族議員は予算などで省益を保つのに「頼らざるをえない存在」でもある。