13 :
EU報告書について:
狂牛病の発生危険性についてのEU報告書、
まだ国のサイトには公表されていないようなので(2000年12月31日現在)
毎日新聞12月31日版に掲載された要旨、および
これを読んだ山内一也・東大名誉教授のコメントを転載させてもらいます。
(Webには載ってなかったと思います。)
本報告書については毎日新聞の次の記事を参照のこと
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/disease/2001-6/1213-1.html --------------------------------
狂牛病発生の危険性 EU報告書草案要旨
日本での狂牛病発生の危険性について、欧州連合(EU)がまとめた報告書草案の
要旨は次の通り。
14 :
EU報告書(2001年2月1日版)要旨(1):02/01/01 00:13 ID:aYydP0Rc
【データの出典】
▽国家書類
・「伝達性海綿状脳症(TSE)の日本における状況」。98年2月に出されたもの。
・「TSEのリスクアセスメントに関する関係書類」。99年10月に出されたもの。
・「牛海綿状脳症(BSE)の日本における地理的な危険性に関する調査報告書第1稿
(00年12月13日)」に対する日本当局のレスポンス。
・ブリュッセルで1月9日に日本の代表団と面会して得た情報。
▽その他の書類(略)
【外的要因(日本に狂牛病の病原体が入る危険性)の評価】
88年に英から日本に19頭の牛が輸入され、96年までにすべてレンダリング(肉骨粉に
加工)された。
86年〜90年、日本は英から151d、伊から400d、デンマークから43dの肉骨粉などを
輸入した。これらは熱処理済みの証明が課せられていない。91年以降も英以外のBSE汚染
国から454d輸入した。大半はアイルランドからだ。
肉骨粉などの輸入は、80年〜85年は中程度、86年〜90年は高い、91年以降は中程度の
外的要因となった。牛の輸入による危険性は無視できるレベルか、低い。
【狂牛病病原体の循環を防ぐ能力の評価】
▽給餌
多くの肉骨粉がブタや鶏の餌に使われ、88年〜95年にはうち2〜6%は牛に使われて
いる。2%以下の召集の畜産家のグループが輸入肉骨粉を牛の餌に使い、別の調査では
国内産の動物性たんぱく質の餌に0.2%が乳牛に、0.1%が肉牛に使われた。
96年4月16日から日本は肉骨粉の牛への使用禁止を行政指導したが徹底されず 、
98年まで88の飼料会社と150の飼料工場には指導がいきわたらなかった。肉骨粉の餌は
98年まで牛に与えられていた可能性が高い。
▽レンダリング
特定危険部位もレンダリングされていた可能性がある。
▽交差汚染
牛、ブタ、鶏用の飼料が同じ製造ラインで作られている。飼料を切り替える時の
洗浄、殺菌はサルモネラ菌対策と同じレベルで、狂牛病病原体をなくすには不十分だ。
食品検査官が年間600サンプルを調査しているが、1工場当たり4サンプルしかない。
年間240サンプルとする資料もある。ブタ、鶏、牛の飼料の間で交差汚染が起きる
可能性がある。輸送中や農場でも起こり得る。
15 :
EU報告書(2001年2月1日版)要旨(2):02/01/01 00:15 ID:aYydP0Rc
【狂牛病を見つけ、排除する能力の評価】
疑わしい牛は検査される。積極的検査ではないので、少数の狂牛病の牛が見つけられて
いない可能性がある。
【病原体の移入と拡大防止のシステムの評価】
96年以前、肉骨粉の牛への給餌は頻繁ではないが行われ、現在も行われている可能性が高い。
レンダリングは動物別に専門分化されずに行われ、特定危険部位も加工された可能性がある。
交差汚染の可能性があり、肉骨粉飼料禁止の指導の効果を弱めた。日本のシステムは少数の
狂牛病の牛を検出できない。
これらの結果から日本のシステムは非常に不安定で、狂牛病の伝染性はむしろ速いスピード
で循環し、拡大するだろう。
【狂牛病発生の危険性に関する結論】
狂牛病の病原体は80年代後半から90年代かけて、輸入肉骨粉によって持ちこまれたと考えられる。
日本の極めて不安定な防止システムのもとで、狂牛病発生の危険性は増加し続けた。
もし日本の牛が狂牛病に感染していたら、日本には90年代初頭に狂牛病が入り込み始めていたと
いうことだ。調査の全期間を通じて危険性は増大している。
【日本の危険性評価】
日本の現在の地理的リスクはレベル3で、「ありそうであるがまだ確認されていない、
または低いレベルで確認されている」段階といえる。日本の牛は狂牛病病原体にさらされている。
国内のシステムを変えねば、牛が病原体にさらされる可能性は増加し続ける。肉骨粉の給餌を
なくし、レンダリング方法を改善し、特定危険部位を使用しないこと、監視体制の改善などが
効果を発揮するはずだ。
16 :
EU報告書を読んだ山内氏のコメント:02/01/01 00:16 ID:aYydP0Rc
草案を読んで
山内 一也 東大名誉教授(ウィルス学)
「事実を正確に把握」
一読して、草案の内容は論理的で、出されている結論も非常に
妥当なものだと思った。最終的に日本に対して出されている勧告
(肉骨粉の使用中止など報告書で示された改善案)も、評価結果
をきちんと反映させた内容。
それは、結果的に日本が草案の指摘通りの事態になったことか
らも分かることだ。
また、肉骨粉などの牛への使用禁止を指導したことを、日本政
府はEU側に「事実上、法的な使用禁止に近い」と説明した。
これについて、EU側は「実際には使用されていた可能性があ
る」と判断するなど、事実を正確に把握しているという印象を受
けた。
草案なので、データにいくつかの間違いがあるとしても、最終
的な結論が覆るとは考えにくい。
EUの評価は、本来EU各国でBSE(牛海面状脳症)が広が
らないようにEU内部と他国の状況を精査するのが目的。調査を
する科学運営委員会には50人近い専門家が集まっており、事前に
2年もかけて非常に具体的な評価方法、調査項目を検討している。
調査に最大限の客観性を確保するためだ。
調査項目も多数あり、そのすべてをチェックした総合判断が日
本は「レベル3(確認されていないが可能性は大いにある)」だ
った。
いくつかのデータの違いを挙げ、評価全体の信頼性を疑うとい
う反論は無理があるだろう。