<<狂牛病関連情報蓄積スレ その6>>

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【社説】問われる食の安全性 '01/12/30 (中国新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh01123001.html

 日本での狂牛病(牛海綿状脳症)感染はありえないとしていた農水省への信頼感が一頭の感
染乳牛の出現で地に落ちた。英国、ドイツなどでの失敗が絵に描いたように日本でも繰り返さ
れた。農水省の対応が後手に回り、情報公開も徹底しなかった根底には経営効率優先による食
の安全性に対する慣れ、軽視があったのではなかろうか。酪農、畜産のあり方について消費者
も含めて論議を深める必要がある。
 今月中旬、広島市西区の広島食肉市場が開いた「ひろしま食肉市場まつり」に親子づれ約四
千五百人が訪れた。同市場は食肉アンケートを実施。狂牛病について「全頭検査が実施され、
国による安全宣言も出された」と前置きして、今後の牛肉消費意向を尋ねた。回答は七百二十
人。集計によると「増える」9%、「変わらない」80 %、「減る」11%だった。担当者は「
予想以上に『変わらない』とする人が多く、少しほっとした。しかし価格の方が戻っていない
ので」とまだ安心はしていない。
 狂牛病は九月、千葉県内で処理された北海道産乳牛で確認された。さらに十一月と今月に各
一頭の感染乳牛が発見された。今後、さらに感染牛がみつかるようなことはないのか、と生産
者は不安な気持ちで状況を見守っている。
 生産、流通の当面の対策として全国農業協同組合連合会(全農)広島県本部が始めた「牛の
パスポート」の普及に期待したい。消費者は店頭で牛の来歴や検査結果などを知ることができ
る。消費者に一定の安心感を与えるだろう。
 一方で急がれるのが感染原因の解明である。広島市議会も国会、政府あてに決議した意見書
の中で、感染源・感染ルートの解明に全力を挙げるよう要請している。
 感染源として可能性が高いと言われる輸入肉骨粉を配合した飼料は感染牛に与えられていな
いという。それでは何が原因だろうか。だれもが疑問を感じるはずである。感染源の解明なく
して、狂牛病の国内絶滅を確信することはおよそ不可能である。欧州産肉骨粉にかかわる綿密
な調査と併せて、狂牛病と同じような症状をみせた北海道の羊の追跡や国際的な共同研究など
困難だが徹底した取り組みが必要である。
 原因究明や出荷が凍結されている牛肉の買い上げ、その焼却処分などには、多額の税金が使
われる。今となっては、この公費投入は単に生産者たちのために使われるとみなすのではなく、
国民全体の将来の食の安全を確保するための必要経費と受けとめる以外にない。一九六六年、
牛への肉骨粉の使用禁止を行政指導にとどめて、そのまま事態を「放置」していた農水省の
「責任と罪」は極めて重い。
 教訓としてすくいとれるのは何だろうか。生産者団体幹部から「英国と日本の生産形態は類
似している面がある。その点からも農水省はもちろん、生産側ももっと警戒が必要だった」と
いった声も聞かれる。海外畜産物の価格攻勢に押される中、食の大前提である安全性への関心
が薄れがちだったとの反省がこめられているように思う。消費者も同じ土俵にあがって考えて
ほしい。