<<狂牛病関連情報蓄積スレ その6>>

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【社説】狂牛病の責任*次官退任では済まない(北海道新聞)12月26日
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20011226&j=0032&k=200112265119

 農水省の熊沢英昭事務次官が来年一月に退任することになった。 狂牛病(牛海綿状脳症)
を未然に防げなかったことを踏まえた事実上の引責辞任とみられる。遅きに失したというべき
だろう。 熊沢氏は一九九六年に肉骨粉を飼料として牛に与えないよう畜産農家に指示した際
に、法的拘束力のない行政指導にとどめた畜産局長だ。
 しかし、武部勤農水相は、九六年当時の危機管理意識の希薄さは特定の人間の責任ではない
として引責辞任でないことを強調、自らの辞任を否定している。 あきれた話だ。この期に及
んで、農水省全体に染み付いた責任感のなさにはあらためて驚くほかない。
 国内で狂牛病の感染が確認された三頭の乳牛はいずれも九六年三、四月の生まれで、世界保
健機関(WHO)が牛の飼料として肉骨粉の使用を禁止するよう勧告していた時期だ。 本来
ならもっと早く国内で規制措置を取るべきだったが、遅くともこの時点で禁止すべきだった。
しかも、当時、行政指導に対し同省の審議会で一部の委員から法的に禁止すべきだとの意見
があったにもかかわらず、黙殺されたという。
 結局、禁止措置は今年九月に一頭目の狂牛病感染が確認されるまで放置されていたことにな
る。 狂牛病確認後、同省は慌てて法的措置をとったが、既に多くの農家が肉骨粉を牛に与え
ていたことが調査で分かっている。 同省の危機意識の欠如が狂牛病騒動を生んだことになる。
 欧州連合(EU)による今年四月までの報告書で、国内の感染の危険性を指摘していた内容
が明らかになった。 九〇年の英国からの肉骨粉輸入などで病原体が入り込み、国内の牛が感
染した恐れがあることを指摘、九六年の行政指導についても十分ではないとして、牛の検査態
勢や肉骨粉の製造過程での改善を勧告していた。
 国内での発生の現実性をはっきりと指摘していたことになる。同省がEUの評価を拒否した
ため、最近まで公表されなかった。 一頭目の狂牛病確認の際、牛が肉骨粉に加工されていた
のに焼却処分にしたと発表するなど混乱が続いたのも、この無責任さでは当然と言える。
 狂牛病が出て、既に三カ月半になるのに、感染源はいまだに解明されていない。武部農水相
らの「安全宣言」にもかかわらず、牛肉の価格が下落したままなのは、行政に対する消費者ら
の不信の強さを如実に示している。 問われているのは同省の危機管理機能そのものだ。無責
任行政のつけがいかに大きいかを、農水相ははっきりと知るべきだ。