▼ニューズウィーク日本版 12月19日号(先週号)
●世界共通の味、世界共通の危険
効率化を追求した「マクドナルド方式」の生産システムは
食品が健康に及ぼすリスクまでグローバル化させている
エリック・シュローサー(ジャーナリスト)
http://www.nwj.ne.jp/public/toppage/20011219articles/SR_sef4.html 1968年にはまだ、マクドナルドは各店の厨房で生肉からハンバーガーを作ってい
た。牛肉の仕入れ先も、全米で175あった。
数年後、会社の急成長に伴ってパティ(肉の部分)は冷凍のものに切り替えられ、
仕入れ先は5社に絞り込まれた。これによってマクドナルドは、どこで食べてもまっ
たく同じ味のする、標準化され均一化されたハンバーガーを売ることができるよう
になった。
このことは、アメリカの食肉加工業界にも変化をもたらした。ごく少数の大手業
者が市場を独占し、多くの中小業者が倒産に追い込まれた。牛肉業界全体で、資本
の集中と工業化が進んだ。
70年には、大手4社が扱う牛肉は市場の21%にすぎなかったが、現在は84%を占め
る。最大の得意先はマクドナルドだ。
マクドナルドが外国へ事業を拡張するにつれて、牛肉会社も外国に進出した。米
大手食肉会社のコナグラは、オーストラリア最大の牛肉会社を傘下に収めている。
私たちが現在食べているものの多くは、30年前に食べていたものと変わらないよ
うにみえる。だが、そこには大きな違いがある。
ファストフード店のハンバーガーは、店から遠く離れた巨大な工場で生産される。
原料の肉牛は、「部品」の一つでしかない。