「週刊文春」 2001/12/06
元船員の告発!『私は疑惑の肉骨粉を闇ルートで北海道まで運んだ!』 から。
農水省の管理体制の杜撰さも、改めて指摘されている。最近も、飼料としての輸入肉骨粉の
輸入量すら正確に把握していなかったという事実が、明らかになったばかり。さらに小誌は、
肉骨粉輸入の実態について、関西在住で船員歴三十二年の鳥田太郎氏(仮名)から驚くべき証言
を得た。島田氏が極秘書類を元に説明する。
「肉骨粉は、だいたい一トンパックの袋づめになって船に積まれていることが多かった。臭い
からすぐに分かるんやけど、品目は『肥料』になっていたり、『フェザーミール』になってい
たりと、いろんな品目に化けていた。『ミート・ボン・ミール』とハッキリ明記してあるもの
は、実に少なかったわ。品目なんて、いい加減に書いても、税関ではほとんどノー・チェック
やから。僕は、三十年余り船に乗っていましたが、一度も荷物の中身のチェックを受けたこと
なんかありません」
こうして肥料などに化けた肉骨粉を、島田さんは中国や台湾、香港などから日本に運んだ。
その肉骨粉を商品として扱うのは、主に、中国や日本の商社。日本では、倉庫を持っている中
規模の商社が多かったという。
「当時は私たち以外にも何百隻という船が運んでいましたよ。その数は半端じゃない。税関に
申告する量なんて、ほんの一部や。うちの船でも、七千トンの荷物を積んできて、申告するの
は三百トンなんていうこともザラやった」
島田さんは、北海道にも、釧路、苫小牧、函館、小樽などの港によく荷物を運んだ。特に、
一頭目の狂牛病感染牛が育った佐呂間町に近い釧路の港は、船から荷物を放りあげると、すぐ
そばに倉庫があったので、運びやすかったと語る。
「倉庫がすぐにあれば、運びやすいだけじゃなくて、荷物を隠すことも容易なんや。だから、
荷揚げしたら、あっという間にほとんどの荷物は運ばれて行ってしまう。そして、ごく一部だ
けがその場に残されて、申告されるわけや。税関や検疫の人間は、その書類を見て、ただチェ
ックするだけ」
台湾、香港から石垣島経由で
さらに、肉骨粉に関しては、.中国や台湾、香港から運ばれるものは、どこからきたものか
分からたいと言う。
「ウチの船でも、台湾から運んだ荷物を一度沖縄県の石垣島に入れて、そこで原産地名や表示
を変えて日本産の商品にしてから、他の港に運んだこともあったわ。日本では、石垣島は、簡
単に出入国ができる。まして、イギリスとのつながりの深い香港などでは、何でもありでしょ
う。香港なんて、実際には狭い土地で牛もいないし、肉骨粉など出来るわけがないのに、かな
りの量の肉骨粉を運んでいました。もちろん品目を変えてやけどね。
台湾にも、イギリスからかなりの量の肉骨粉が運ばれておりました」
英国関税局のデータを調べても、八九年から九六年まで、確かに肉骨粉が輸出されている。
このようなルーズな貿易管理下で肉骨粉が日本に入ってきていたなら、感染経路を探るのは、
不可能に近い。
http://www6.plala.or.jp/X-MATRIX/data/bunsyun20011206s.html