▽狂牛病警告の研究者に農水省職員が圧力?・1991年の講演後 (日経新聞)
http://health.nikkei.co.jp/bse/child.cfm?c=0 狂牛病(BSE)が英国を中心に問題になっていた1991年、国内の研究者が狂牛病について
警告する講演をした翌日、農水省の横浜動物検疫所の所長が「狂牛病に関する話題は今後
触れ ないでほしい」などと研究者にくぎを刺していたことが19日、分かった。同日開いた農相と
厚 労相の私的諮問機関「BSE問題に関する調査検討委員会」の初会合で明らかにされた。
学者 らで構成する同委員会は、狂牛病をめぐる国の対応が適切だったかどうか今後検証していく。
この話を初会合で明らかにしたのは、この日同委員会の委員長に就任した高橋正郎・日大教
授。高橋委員長は「官と民は協力して情報収集に当たらなくてはならない時期だったはず」と
行政側の対応の不備を厳しく問う構えだ。
高橋委員長によると、農水省から“圧力”を受けた形になったのは同じ日大の畜産経済学を
専攻している研究者。講演では当時、米・シカゴ周辺で狂牛病の原因となったとされる羊の
病 気「スクレイピー」の発症が増えていたため、シカゴ周辺から子牛を生体で輸入する危険性を
指摘した。食肉関係の業界団体が主催した研究会の場だった。
講演の翌日、当時の横浜動物検疫所の所長から研究室に電話があり、「現時点で狂牛病の原因
物質は不明で治療や予防措置がない上、狂牛病の広がりが日本に及ぶかどうかは分からない」と
指摘。「狂牛病に関する話題は今後触れないでほしい」と話したという。
検疫所の所長は農水省の本省では課長級に当たる幹部クラス。この話を初会合の席で明らか
にした高橋委員長は「今回のケースのように、研究者の持っている情報がうまく行政に伝わっ て
いないケースもあるようだ」と指摘している。
これに対し農水省畜産部は「横浜動物検疫所長が研究者に狂牛病の話をしないように求めた
という話は聞いたことがない。事実関係を確認したい」としながら、「研究者に対して発言し ない
ように求めることは通常ない」と話している。