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われわれはこの日以後の自衛隊に一刻一刻注視した。われわれが夢みてゐたように、もし自衛隊に
武士の魂が残つてゐるならば、どうしてこの事態を黙視しえよう。自らを否定すろものを守るとは、何たる
論理的矛盾であらう。男であれば、男の衿りがどうしてこれを容認しえよう。我慢に我慢を重ねても、守る
べき最後の一線をこえれば、決然起ち上るのが男であり武上である。われわれはひたすら耳をすまし
た。しかし自衛隊のどこからも、「自らを否定すろ憲法を守れ」という屈辱的な命令に対する、男子の声は
きこえては来なかつた。かくなる上は、自らの力を・自覚して、国の論理の歪みを正すほかに道はないこ
とがわかつてゐるのに、自衛隊は声を奪われたカナリヤのやうに黙つたままだつた。