栃木男子リンチ殺人&警察隠蔽工作スレッドPart7

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268転載バカボン
(続き)
 12月5日16時30分、三田署から電話がありました。
「残念ですが・・・」
 後にはなんと続いたのか。おそらく、「正和さんが仲間に殺され埋められていたのが
発見されました」だったと思います。電話は私がとりました。妻には聞こえるはずも
ないのですが、私の声のトーンでこれは非常事態だと察したようです。まだ受話器を
握っている私の横ですぐにバタバタとブラインドを降ろし、蒸し器の電源を切り、
店を閉める用意を始めました。
 いざというときには北海道まででも正和を迎えに行くつもりで、常に十万円は持っていました。
実は、80歳を超えた母には心配かけまいと正和のことは一切はなしていなかったのですが、
「ちょっと今から東京まで用足しにいってくる」とだけ言う私に母は「手元に二万円
あるから全部持ってけ」と言いました。
 三田署に着いたのは19時です。「誰かのイタズラじゃないか」と考え、三田署の前を
行ったり来たりしました。玄関にいた警官に「栃木の須藤です」と言うと「どうぞこちらへ」
と姿勢を正して言われたので、ああ、本当に駄目だったんだと思いました。
 事情聴取が始まるや否や、ほかの部屋から「S学院だよーん」と大声が聞こえました。
<Mの声だ・・・・>
 私は動揺しました。刑事さんが急いで別のフロアに案内してくれました。
 長時間、調書を取られ、霊安室に通されたのは午前二時を回っていました。そこで91日ぶりに
物言わぬ正和と対面したのです。
「ああ、お父さん、正和だ、まあ君だよ」
妻が叫びました。やっと会えた正和は既に柩に入れられ、顔の一部が見えるだけです。確認しようにも
遺体が正和だとはとうてい思えません。妻はあらゆる方向から必死に目をこらして見ていました。
「ほら、この前歯は正和の歯だよ」
 うっすらと開いた唇からのぞく前歯は確かに見覚えのある前歯でした。
「ああそうだ、この鼻は俺の鼻にそっくりだ。正和の鼻だ」
 顔全体がどす黒く膨れ上がり、眉も、あれほど長く伸ばすのだと言っていた髪も剃られ、
イタズラされて焼かれた跡が生々しく残り、生え際の辺りにはセメントがこびりついていました。
なかなか会わせてもらえなかったのは、セメントを落とすのに時間がかかっていたからなのです。