【北京2日=古森義久】河野洋平外相は八月二十八日から三十一日ま
で中国を訪問したが、中国のマスコミでは河野氏が官房長官時代の一九
九三年にいわゆる慰安婦問題で「官憲の強制」を認め、中国や韓国に謝
罪したことを最大の理由に「良識ある政治家」と評した論評が目立った。
同論評は中国への新規援助に留保をつける政治家たちを「他国を脅しつ
ける民族主義者」と断じ、河野氏をそれら政治家に抵抗するヒーローと
して描いている。
この論評記事は河野外相が北京に着いた八月二十八日付の中国青年報
に大きく掲載された。同紙の東京特派員による同記事は「河野は良識の
ある政治家だ」という見出しだが、その「良識」は河野氏の歴史観にみ
られるとし、慰安婦に関する九三年の河野官房長官談話を詳述している。
同記事は河野氏が同談話のなかで「慰安婦を募集する際、甘言や強圧
など、本人の意志に反する手段が用いられ、日本軍の関与の下で、多く
の婦女の名誉と尊厳が深く傷つけられた」と述べた点を紹介し、中国や
韓国を満足させる形で強制連行を認め、謝罪したことを高く評価した。
河野談話を発表した当時の官房副長官だった石原信雄氏は、募集段階
での強制連行を裏付ける証拠はなかったとしているが、同記事は九七年
に河野氏が「確かに『強制的に連れてこい』というような命令や『強制
的に連れてきた』という報告はみつからないにしても、それが募集の過
程で強制的な方法がなかったことにならない」と弁明したことまで伝え
ている。
http://www.sankei.co.jp/paper/today/politics/03pol003.htm