「韓国異質論」のススメ / 「儒教国家群」を岡本隆司准教授と読み解く(2)
岡本:(前略)判決などが最終的に依拠するのは「情理」――人々が「この辺が正しい」と思う、
コンセンサスなのです。それを上手にくみ上げる為政者が「徳あるリーダー」と見なされたのです。
鈴置:韓国の裁判は今でも「情理」が基本です。国民感情に合致しない判決を下した裁判官は、
世間から非難の的になります。「民主化」で世論が強くなった分、ますます「情理裁判」の傾向が
深まった感じがします。(中略)
岡本:私が申し上げたのは過去の歴史の話ですが、その視点から見ると腑に落ちる言動を、現代の
中韓がよくやっているのも事実です。
「徳治」のシステムに慣れた、彼らの歴史的なクセとして考えた方がよいのかもしれません。
ともかく、そういう発想の国が隣にいくつもあって、日本はつき合っていかねばならないのが現実です。
鈴置:「慰安婦問題」もそうですし、不二越や三菱重工業などに対する戦時労働者の損害賠償要求
もそうです。いずれも国交正常化の際の日韓基本条約で完全に決着済みです。
でも、岡本先生の言葉を借りれば韓国人の「情理」にそぐわなければ、結んだ条約などは関係ないのです。
━━ 韓国人はそれがおかしいと思わないのでしょうか。
鈴置:韓国の中しか知らなければ「情理」による対日要求が当然と思うものでしょう。政治的な
係争に関わる裁判も政権が交代するたびに、判決ががらりと変わるのが韓国です。
それどころか、韓国人の目には、慰安婦などで自分たちの「情理」に応じない日本は「とんでもない国」
に映るのです。だから、世界中で堂々と日本を批判するのです。
━━ 日本は「情理」でものごとを決める国ではなく「法治」国家なのですが……。
鈴置:韓国人は日本も儒教国家であり、当然に「情理」が通じるはずだ、と思い込んでいるのです。だから、
自分の要求に応じない日本に、よけい苛立つのでしょう。この誤解が問題をさらに複雑にしています。(以下略)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141118/273967/