各種ミサイル防衛システムの配備国と配備を検討している国、あわせて27か国。弾道ミサイル脅威にさらされている国でMDを
配備していない国は無いと言ってよいくらいです。そんなミサイル防衛システム開発にいそしむ国のひとつにインドがあります。
インドのBMD構想の第一段階は、射程2,000km(準中距離)級弾道ミサイルを迎撃する「プリトビ防空(PAD:Prithvi Air Defense)ミサイル」と、
「先進型防空(AAD:Advanced Air Defense)ミサイル」から成っています。PADは高度50-80km、AADは最大30kmまで対応できるようです。
インドはBMD計画の第二段階として米陸軍のTHAADのようなものを開発しています。射程5,000km(中距離)級の弾道ミサイル迎撃を担うとされる
、二段式固形燃料型の「PDV防空ミサイル」です。インドは、PAD、AAD、 PDV(インド版THAAD) という三層の弾道ミサイル迎撃システムを構築したいと考えているようですね。
インドはこれまで2006、2007、2009、2010年(3月、7月)、2012年と6回の弾道ミサイル迎撃実験を行ってきました。
そして、4月27日に7回目となる実験が実施された模様です。今回は、PDVによる初迎撃実験です。
真の脅威は中国の弾道ミサイル
しかし、実のところ印パ間の軍事力差は現時点ですでに大きな開きがあります。今後、軍拡を続けるインドにパキスタンが追随するのはなかなか難しいでしょう。
インドにとってやっかいなのは、パキスタンと中国の同盟関係です。2008年10月には、ザルダリ大統領(当時)が中国を訪問して胡錦濤国家主席(当時)と会談し、
両国首脳は戦略的パートナー関係を新たな段階に引き上げることで一致しました。パキスタンと中国の軍事的結びつきは強く、ミサイル開発においても、シャヒーンは
中国の技術が導入されているとされ、中国の影響力なしにパキスタンの軍事力は語れません。
言うまでもなく、弾道ミサイル防衛という点で見れば真の脅威は中国です。中国の弾道ミサイル戦力は、パキスタンと比べれば圧倒的な量と質を誇ります。
実際、インドのミサイル防衛構想で標的とされているMRBMとIRBMは、近年中国が注力しているDF-21シリーズと重なっています。
したがって、インドの弾道ミサイル防衛システムは対中国を主眼としている、というのが妥当な見方です。
http://blogos.com/article/85415/